ETFの繰上償還
ETFの信託期間は、設定された時点では無期限とされていますが、運用を途中で止めて、ファンドを終了する「繰上償還」が行われる可能性もあります。これまでに42本のETFが償還しています(2020年3月末現在)。ETFを利用して長期運用を行っている投資家にとっては、資産運用計画が台無しになってしまうかもしれず、リスク要因の一つであると言えます。では、運用会社はどのような場合にETFの繰上償還を行うのでしょうか。
ETFの繰上償還の理由
ETFの繰上償還理由には次が挙げられます。
- 受益権の口数が、あらかじめ定めた口数を下回った場合。この口数は、ファンドにより異なります。20万口というファンドもあれば、300万口というファンドもります。
- 受益権を上場したすべての金融商品取引所において上場廃止になったとき。
- ファンドが連動の対象としている株価指数が廃止されたとき。
上記の場合には、委託者は受託者と合意のうえ、この信託契約を解約し信託を終了(繰上償還)させることがあます。その場合、委託者は、あらかじめ、解約しようとする旨を監督官庁に届け出る必要があります。また、証券取引所に対して、上場廃止申請を行います。
上記は、委託者によって繰上償還が決定されるものですが、ETFを上場している東京証券取引所には上場廃止の基準が定められており、取引所の決定により上場を廃止せざるをえないこともあります。詳しくは「ETFはどのような場合に上場廃止されますか?」をご覧下さい。
なお、各ETFは、有価証券届出書においてどのような場合に繰上償還を行うかについて「繰上償還条項」に定めています。口数の減少は繰上償還のリスクを高めますので、ETFを購入する際には、そのETFの口数の動向をチェックすることも大切です。