外債ETFとは
外国の債券に分散投資することで、特定の債券指数に連動した投資成果を目指すETFを一般に外債ETFと呼びます。
外債ETFのメリット
外国の債券に直接投資することは、個人投資家にとってはハードルが高い投資の1つです。それには次のような理由が挙げられます。
- 外国の債券を取り扱っている証券会社が限られる。
- 証券会社により取り扱っている外国債券が異なる。
- 購入単位が大きいものが多い。
- 複数の銘柄を購入するにはかなりの資金が必要。
- 情報入手が困難である。
- 外貨建てのものが多い。
しかし、外債ETFを利用することで、上記のような問題は解決できます。外債ETFは、
- ほとんどの証券会社で全ての外債ETFを購入できる。
- 取引単位は1口単位か10口単位で、1口当りの価格は7,000円から60,000円程度なので少額で購入可能。
- 1銘柄で広く分散投資が実現できる。
- 東京証券取引所をはじめ、証券会社、情報会社など多くの情報がある。
- 円建てで投資できる。
外債ETFの仕組み
外債ETFは、特定の債券指標への連動を目指すETFです。例えば、上場インデックスファンド海外債券(Citi WGBI)毎月分配型(1677)であれは、世界主要国の国債市場の動向を示す債券指数の「シティ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)」に連動した投資成果を目指します。世界主要国の国債市場が全体として上昇すれば、「上場インデックスファンド海外債券(Citi WGBI)毎月分配型」も上昇し、世界主要国の国債市場が全体として下落すれば、同ETFの価格も下落します。
外債ETFでは、各ファンドが定めている債券指数への連動を目指すために、投資家から集めた資金を外国債券に分散投資します。前述の「上場インデックスファンド海外債券(Citi WGBI)毎月分配型」であれば、世界主要国23カ国(オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、 日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国、南アフリカ)の国債市場に分散投資します。このとき、各国債市場への投資割合は、対象としている指標(シティ世界国債インデックス)の国別の構成比率と同じにします。つまり、指標において米国の国債の構成比率が5%であれば、ETFも米国の国債に5%配分し、指標においてドイツ国債の構成比率が4%であれば、ETFもドイツの国債に4%投資します。同じ国債に同じ割合で投資することで、投資成果が指標に連動するようにするわけです。このような投資方法をインデックスファンドのレプリケーション手法と呼びます。レプリケーションは複製するという意味で、まさに、債券指数を複製するということです。
東京証券取引所に上場している外債ETF
2020年3月末日現在、次の13本の外債ETFが東京証券取引所に上場しています。
ファンド名(銘柄コード) | 対象指数 | 信託報酬(税抜) |
ABF汎アジア債券インデックス・ファンド(アジア国債・公債ETF)(1349) | Markit iBoxx ABF 汎アジア指数 | 0.19% |
上場インデックスファンド海外債券(Citi WGBI)毎月分配型(1677) | シティ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース) | 0.25%程度 |
上場インデックスファンド新興国債券(バークレイズLocal EM国債)(1566) | バークレイズ自国通貨建て新興市場国債・10%国キャップ・インデックス | 0.45%程度 |
iシェアーズ 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)(1482) | シティ米国債7-10年セレクト・インデックス(国内投信用 円ヘッジ円ベース) | 0.14% |
上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジなし)(1486) | S&P 米国債7-10年指数(TTM、円建て) | 0.16% |
上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジあり)(1487) | S&P 米国債7-10年指数(TTM、円建て、円ヘッジ) | 0.16% |
iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)(1496) | Markit iBoxx 米ドル建てリキッド投資適格指数(TTM円ヘッジ付き) | 0.28% |
iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF(為替ヘッジあり)(1497) | Markit iBoxx 米ドル建てリキッド・ハイイールド指数(TTM円ヘッジ付き) | 0.58% |
シティ米国債7-10年セレクト・インデックス(国内投信用 円ベース)(1656) | iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF | 0.14% |
NEXT FUNDS 外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジあり)連動型上場投信(2512) | FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ヘッジ・円ベース) | 0.12%以内 |
NEXT FUNDS 外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2511) | FTSE世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース) | 0.12%以内 |
NEXT FUNDS新興国債券・J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2519) | J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス | 0.19%以内 |
NEXT FUNDS ブルームバーグ・バークレイズ米国投資適格社債(1-10年)インデックス(為替ヘッジあり)連動型上場投信(2554) | ブルームバーグ・バークレイズ米国投資適格社債(1-10年)インデックス(円ヘッジ・円ベース) | 0.27%以内 |
総体的に高い分配金利回り
債券投資の魅力には安定した分配金が得られることがありますが、外債ETFの魅力も相対的に高い分配金利回りにあります。しかし、先進国の金利水準は総じて極めて低い状況にあるため、高い利回りが期待できるのはアジアなど新興国の債券に投資するタイプのETFでとなっています。
【外債ETFの分配金利回り(2020年1月末日現在)】(データ出所:東京証券取引所)
ファンド名(銘柄コード) | 分配金利回り |
ABF汎アジア債券インデックス・ファンド(アジア国債・公債ETF)(1349) | 2.81% |
上場インデックスファンド海外債券(Citi WGBI)毎月分配型(1677) | 2.76% |
上場インデックスファンド新興国債券(バークレイズLocal EM国債)(1566) | 5.45% |
iシェアーズ 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)(1482) | 1.90% |
上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジなし)(1486) | 2.39% |
上場インデックスファンド米国債券(為替ヘッジあり)(1487) | 2.07% |
iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)(1496) | 2.83% |
iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF(為替ヘッジあり)(1497) | 4.19% |
シティ米国債7-10年セレクト・インデックス(国内投信用 円ベース)(1656) | 2.05% |
NEXT FUNDS 外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジあり)連動型上場投信(2512) | 1.44% |
NEXT FUNDS 外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2511) | 1.91% |
NEXT FUNDS新興国債券・J.P.モルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(為替ヘッジなし)連動型上場投信(2519) | 5.22% |
NEXT FUNDS ブルームバーグ・バークレイズ米国投資適格社債(1-10年)インデックス(為替ヘッジあり)連動型上場投信(2554) | 1.06% |
外債ETFでも、投資対象国や地域の違いにより分配金利回りは差が生じます。一般に、新興国の債券に投資するETFの分配金利回りの方が先進国の債券に投資するETFの分配金利回りよりも高い傾向にあります。新興国の債券のカントリーリスク、流動性リスク、為替リスクなどが先進国に比べて高いためです。外債ETFに投資する際には、利回りの高さだけでなく、そのETFのリスクもきちんと理解しておきましょう。