国内先物価格に連動するETFとは?


商品先物取引

日本国内で最大の商品先物取引所は、東京商品取引所(TOCOM=Tokyo Commodity Exchange)です。かつては東京工業品取引所と呼ばれていましたが、2013年2月に東京商品取引所に商号が変更されました。

この東京商品取引所では金・銀・プラチナ・パラジウムなどの貴金属、ガソリン・灯油・原油・軽油などのエネルギー商品、大豆・とうもろこしなどの農産物、商品指数などの先物とオプションが取引されており、取引や指数の算出が全て円建てで行なわれています。

東京商品取引所の上場商品(2016年1月現在)

  • 金 [標準取引]
  • 金 [ミニ取引]
  • 東京ゴールドスポット100
  • 金先物オプション
  • 白金 [標準取引]
  • 白金 [ミニ取引]
  • パラジウム
  • アルミニウム
  • ガソリン
  • 灯油
  • 原油
  • 軽油
  • ガソリン [中京石油市場]
  • 灯油 [中京石油市場]
  • ゴム
  • 一般大豆
  • 小豆
  • とうもろこし
  • 粗糖

 

国内先物価格に連動するETF

国内の商品先物取引を行なう場合には、商品先物取引業者で商品先物取引のための口座開設(国内商品先物取引口座)を行なう必要がありました。しかし、商品ETFの上場により、実質的に国内の商品先物を少額から、証券口座で取引することが可能になり、投資家にとって商品先物がこれまでより身近な投資対象になったわけです。

この東京商品取引所で取引されている先物価格に連動することを目指すETFが国内先物価格に連動するETFで、野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS 日経・東商取白金指数連動型上場投信(プラチナ先物ETF)」(銘柄コード:1682)とアセットマネジメントOneが運用する「One ETF 国内金先物(金先物連動ETF)」(銘柄コード:1683)です。

この2本のETFの基本的な仕組みは、ETFの信託財産から先物取引の証拠金を差し入れ、先物を買い建てることで、ETFの基準価額の値動きを先物の値動きに連動させるというものです。証拠金以外の信託財産は短期国債などの短期金融商品で運用し、この部分での利息収入がETFの分配金の原資となります。

 

NEXT FUNDS 日経・東商取白金指数連動型上場投信

NEXT FUNDS 日経・東商取白金指数連動型上場投信は、日経・東商取白金指数への連動を目指すETFです。日経・東商取白金指数は、東京商品取引所に上場されている白金先物の流動性の高い限月を対象限月として算出される指数で、2002年5月31日を基準日とし、その日の帳入値段に基づく指数値を100.00として算出されています。円建ての白金の先物価格に連動するETFということです。なお、白金はプラチナのことです。

日経・東商取白金指数

日経・東商取白金指数(データ:東京商品取引所)

プラチナの産出国は南アフリカ、ロシア、米国、カナダ、ジンバブエなどですが、その中でも南アフリカが70%以上を占めています( US Geological Survey)。プラチナの主な用途は、自動車触媒、電気部品、ガラス製造関連などの工業用と宝飾品用です。

世界の主なプラチナ産出国と産出量

世界の主なプラチナ産出国と産出量

NEXT FUNDS 日経・東商取白金指数連動型上場投信は、信託財産の一部を東京商品取引所の白金先物取引の証拠金として差し入れ、純資産総額に相当する白金先物取引の建玉を買い建てます。それ以外の信託財産は短期公社債等で運用します。

One ETF 国内金先物

一方、One ETF 国内金先物は、金の先物価格への連動を目指すETFで、ベンチマークとして東京商品取引所の先物市場における金標準取引の期先限月の清算値が採用されています。期先限月とは、受渡日が最も先にある限月のことで、例えば、2012年9月15日現在の東京商品取引所における金標準取引では、次のように2013年8月が期先限月となっています。

限月
終値
前日比
出来高
2012/10
4,460
+32
62
2012/12
4,464
+31
90
2013/02
4,467
+29
1,402
2013/04
4,469
+30
1,461
2013/06
4,469
+30
3,579
2013/08
4,466
+26
28,387

One ETF 国内金先物も、信託財産の一部を東京商品取引所の金先物取引の証拠金として差し入れ、純資産総額に相当する金先物取引の建玉を買い建てます。また、それ以外の信託財産は短期公社債等で運用します。

金の産出国は中国、オーストラリア、米国、ロシア、南アフリカなどです。かつては、南アフリカが供給量の過半数を占めていましたが、2010年現在では、中国が13%、オーストラリアが10%、米国が9%、ロシアと南アフリカが8%と、過半数を占める国はありません。

金の主な需要は宝飾品、テクノロジー関係、投資、中央銀行・政府による保有です。2011年の需要の内訳で見ると、宝飾品が約43%、テクノロジー関係が910%、投資が約37%、中央銀行・政府保有が10%となっています。

 

NEXT FUNDS 日経・東商取白金指数連動型上場投信とOne ETF 国内金先物の違い

両ETFの特徴は、商品先物の価格への連動を目指している点と、対象とする指数や価格が円建てであるという点にあります。また、両ファンドとも、ETFと現物資産との交換は行なえません。

 

ファンド名 NEXT FUNDS日経・東商取白金指数連動型上場投信 One ETF 国内金先物
上場日
2010/2/12
上場市場
東京証券取引所
対象指標
日経・東商取白金指数(白金先物価格)
東京商品取引所先物市場の金標準取引の期先限月清算値(金先物価格)
管理会社 野村アセットマネジメント アセットマネジメントOne
売買単位 100口 10口
信託報酬 0.4725% 0.4725%
信託期限
無期限
分配
年1回
現物との交換
行えない