外国籍投資信託の分類
日本国内で販売されている外国籍の投資信託は①株式型、②債券型、③その他に大きく分類されています。株式型は主に株式を中心に運用するファンド、債券型は株式を組み入れないファンド、その他は不動産などで運用するファンドです。この中の債券型のうち、資産の全部又は一部を先物、オプション、仕組み債などの派生商品で運用するファンドを、日本証券業協会では外国籍投資信託の「債券型派生商品型」ファンドと定義・分類しています。
債券型派生商品型
債券型派生商品型の代表的なファンドとしては、元本確保型と呼ばれる償還時に元本が確保できるような仕組みを持つファンドが挙げられます。元本確保型ファンドでは、一般にファンドの資産を安定運用部分と積極運用部分の2つに分けて、安定運用部分では、債券などの収益が予想できるもの投資して、その利金収入でファンドの償還時に元本が確保できるように安定運用部分と積極運用部分の配分比率を調整します。
たとえば、安定運用部分を全体の90%、積極運用部分を全体の10%とします。すると、10%の部分で運用が失敗して、10%分のお金がなくなってしまったとしても、ファンドの償還時には安定部分の利金収入が10%の積極運用部分の損失を埋めることとなり、元本が確保できるというわけです。
ただ、このような元本確保の仕組みでは積極運用部分が少ないため、高い収益は期待できません。そのため、ファンドの運用が万が一失敗した場合には、信用状を発行した銀行などがその損失を補填することによって元本確保するという仕組みのファンドもあります。
債券型派生商品型のファンド
2020年1月末現在、34本の債券型派生商品型のファンドが日本国内で登録されています。純資産総額の合計は日本円に換算すると約4,067億円で、この全てが国内投資家の保有分です。つまり、これらは外国籍投資信託であっても、日本の投資家のために設定されたファンドであることが推測されます。
これら34本のファンドの中で最も純資産総額の大きなファンドが2006年11月にケイマン諸島で設定された「日興グローバル・ファンズ−グローバル債券ファンド」で、2020年1月末現在の純資産総額は約1,605億円です。
通貨については、米ドル建て、ユーロ建て、豪ドル建て、円建てのものなどがあります。いずれの場合も為替リスクが伴います。ユーロ建て、豪ドル建て、ドル建てなど外貨建てのファンドの場合は、日々の基準価額は外貨建てで算出・公表されますが、ファンドの解約時の為替レートと購入時の為替レートの違いにより、為替差益を得ることも、反対に為替差損を被ることもあります。一方で、円建てのファンドの場合は、日々のファンドの基準価額はその日の為替レートで円に換算されて公表されますので、日々の基準価額が為替の変動の影響を反映したものになっています。