ドル建てMMFとは?


ドル建てMMFとは

2024年6月に入り、利回りが5%近くなってきたドル建てMMFへの注目が増しています。ドル建てMMFとはどのような投資対象でしょうか。

ドル建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)は、ドル建ての高い格付を持つコマーシャル・ペーパー、銀行引受手形、預託証書、先進国の政府またはその機関が発行した証券などの短期金融商品を投資対象とする米ドル建てのファンド(投資信託)です。株式への投資は行ないません。

分配については、運用実績に応じて毎日分配が行われ、月中の分配金は毎月末に1ヶ月分がまとめて自動的に再投資されます。

なお、ドル建てMMFは外国籍投資信託であり、日本証券業協会が「外国投信の運用成績一覧表」の中で、毎月運用実績や利回りを公表しています。

ドル建てMMF取扱証券会社の例

多くの証券会社がドル建てMMFを取り扱っています。年換算利回りは4.7%前後(2024年5月30日現在)と、高水準の米国金利を反映して高い利回りを提供しています。

主要各社の取扱ドル建てMMF

楽天証券

  • ノーザン・トラスト・米ドル・リクイディティ・ファンド(楽天・米ドルMMF)
  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド(日興USドルMMF)
  • ゴールドマン・サックス米ドル・ファンド

野村證券

  • USマネーマーケットファンド

SBI証券

  • ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド
  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド
  • ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト
  • ゴールドマン・サックス米ドル・ファンド

マネックス証券

  • ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド

ドル建てMMFのメリット

ドル建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)のメリットはいくつかあります。

1. 高い流動性

ドル建てMMFは、高い流動性を提供します。資金は、原則として売却日の翌ファンド営業日に支払われます。受け取りは外貨でできる証券会社と円貨でしか受け取れない証券会社があります。また、出金については、受け取り指定した銀行口座に外貨預金口座がある場合には、外貨での出金が可能な証券会社もあります。

 

2. 外貨分散の効果

ドル建てMMFは、外貨(米ドル)で運用されるため、外貨分散の効果を享受できます。これにより、円建て資産だけに依存するリスクを減らし、為替変動に対するヘッジとなります。特に、日本円が弱くなった場合に、ドル建て資産は相対的に価値が上がる可能性があります。

 

3. 安全性

ドル建てMMFは、安全性が高い投資商品です。ドル建てMMFは、主に米国政府発行の短期国債や高信用格付けの金融機関が発行する証書など、安全性の高い資産に投資されます。これにより、元本の保全が重視され、リスクが比較的低い運用が行われます。

 

4. 安定したリターン

ドル建てMMFは、通常、安定したリターンを提供します。2023年6月現在、5%近い利回りを提供しています。これは、ドル建ての定期預金などの他の短期投資商品と比較しても競争力があります。

 

5. 為替差益の可能性

為替レートの変動により、為替差益を享受できる可能性があります。特に、円安ドル高の局面では、ドル建てMMFの価値が上昇し、円換算での評価額が増える可能性があります。ただし、逆に円高ドル安のリスクもあるため、為替リスクには注意が必要です。

 

6. 低コスト

ドル建てMMFは、一般的に運用コストが低いことが特徴です。管理費用や手数料が他の投資信託と比較して低めに設定されているため、コストパフォーマンスが良い投資手段と言えます。

 

7. 少額から投資できる

一般的にドル建てMMFは10ドル、あるいは日本円で1,000円程度から投資することが可能です。また、積立サービスを利用できる証券会社もあります。

8.外貨での運用に利用できる

多くの証券会社では、ドル建てMMFは外貨(ドル)での買付・解約ができるので、ドル建てで受け取った外国債券の利金をドル建てMMFで運用したり、ドル建てMMFを解約してその代金で他のドル建て商品の購入に充てることができます。

ドル建てMMFのリスク

一方で、ドル建てMMFのリスクについても理解しておくことは重要です。以下に、主なリスクを詳しく説明します。

 

1. 為替リスク

ドル建てMMFの最大のリスクは為替リスクです。為替レートの変動により、米ドルから円に換算する際に価値が減少する可能性があります。円高ドル安の状況では、ドル建て資産の価値が円換算で減少することになります。

 

2. 金利リスク

ドル建てMMFは比較的安全な資産に投資し、安全な投資対象ではありますが、金利リスクはあります。米国の金利が上昇すると、短期債券の価格が下落し、ファンドの価値が減少する可能性があります。逆に金利が下がると、MMFの利回りも低下するため、利息収入が減少することになります。

 

3. クレジットリスク

ドル建てMMFは、米国政府債や高信用格付けの企業債に投資していますが、発行体の信用リスク(債務不履行のリスク)は存在します。クレジットリスク(信用リスク)が高まると、投資先の債券の価格が下落し、ファンドの価値が減少する可能性があります。

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4. 流動性リスク

通常、ドル建てMMFは高い流動性がありますが、市場の状況によっては流動性が低下することもあります。金融市場が混乱した場合や大規模な資金引き出しが発生した場合、ファンドの資金調達が困難になり、資産の売却が困難になることがあります。

 

5. リターンの変動リスク

ドル建てMMFは比較的安全な投資商品ですが、リターンが保証されているわけではありません。市場環境や金利の変動によって、期待するリターンを得られない場合があります。特に、金利が低下している環境では、MMFの利回りも低下するため、リターンが期待よりも低くなる可能性があります。

 

6. インフレリスク

インフレが進行すると、ドル建てMMFの実質的なリターン(インフレ調整後のリターン)が減少するリスクがあります。インフレによって購買力が低下すると、MMFの名目リターンがインフレ率を上回らない限り、実質的な資産価値が減少します。

 

7. 規制リスク

ドル建てMMFは規制の影響を受ける可能性があります。政府や金融当局による規制変更が行われると、MMFの運用方法やリスクプロファイルに影響を与える可能性があります。例えば、流動性の確保や投資先の制限など、規制によって運用が制約されることがあります。

ドル建てMMFのまとめ

ドル建てMMFは、高い流動性、安全性、安定したリターン、低コストなど多くのメリットを提供する投資商品です。特に、外貨分散の効果や為替差益の可能性が魅力となるため、多様な投資戦略の一環として考慮する価値があります。ただし、為替リスクが伴うため、投資の際にはその点を十分に理解し、リスク管理を行うことが重要です。