マーケットニュートラルとは
マーケットニュートラル戦略とは、「相場や金利が上がっても下がっても利益を獲得しようとする投資戦略」のことです。いわゆる「裁定取引」は、その代表的な例です。ニュートラルとは、どちらの側にも行かない、中立、という意味です。この場合、相場の動きに中立という意味になります。つまり、一見リスクがないのに儲かる戦略のように見えます。
実例としては、LTCMというヘッジファンドの大成功した戦略の一つに、タイバーツと先進国通貨の取引があります。そのころのタイは、先進国何ヶ国かの通貨を集めてインデックス化したものに、自国通貨をリンクさせているといわれていました。事実、その頃のタイバーツは米ドル、ドイツマルク、英ポンド、そして日本円を適切なウェイトでインデックス化したものに、強く連動していました。しかし、タイバーツの金利はこれらの国のいずれよりも高いので、タイバーツ建ての債券を買い、為替を先進国通貨インデックスでヘッジすると、先進国とタイの金利差の分だけ儲かったのです。
LTCMはマーケットニュートラル戦略に特化したヘッジファンドですが、1998年に巨額の損失を出して破綻してしまいました。リスクがないはずなのに? これは、多くの「リスクニュートラル戦略」は、リスクがないのではなく、傍目には見えにくいリスクを取って、そのリスクの分だけ儲けているからではないかと思われます。言い換えれば、世の中そんなに甘くない、ということかもしれません。
マーケットニュートラル戦略を採用した投資信託の例(2020年3月現在)
- 日本株式リサーチ・マーケット・ニュートラルF(SMA専用)(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
- MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信(三菱UFJ国際投信)
- ダイワ日本株ニュートラルF2016-09(大和証券投資信託委託)