中期国債ファンドとは
中期国債ファンドは、主に中期利付国債に投資する公社債投資信託で、元本割れしないことを重視した運用が行なわれる安全性が高い投資信託です。運用収益については全額が収益分配金として日々計上され、毎月末に収益分配金に対する税金を差し引いたうえ、再投資(元本組入れ)される1ヵ月複利の運用が行なわれます。
また、買付けと解約が自由にでき、解約代金については通常申込日の翌日に受け取ることができ、また、キャッシング(即日引き出し)も利用できるため、投資信託の中では最も流動性が高い商品の一つと言えます。中期国債ファンドは、設定後30日経過後であれば、手数料なしで解約ができます。
なお、公社債投資信託とは、約款において株式には投資しない旨が記載されている投資信託のことで、中期国債ファンドのほかには、長期公社債投信、フリーファイナンシャルファンド、キャッシュ・リザーブ・ファンド、マネーリザーブファンド、MMFがあります。
中期国債とは
中期国債ファンドが投資対象とする中期国債とは、政府が発行する債券(国債)のうち、満期までの期間が2年から5年のものをいいます。国債ですから、国が元利保証しています。なお、国債は満期までの期間が10年以上のものを長期国債、1年未満のものを短期国債といいます。日本の借金の残高(国債及び借入金現在高)が約1,039兆円(2014年6月末現在)ありますが、そのうち約21%が中期国債で賄われています。
国債及び借入金現在高
(単位:億円) |
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区分 | 金額 | 前期末(前年度末)に対する増減(△) | ||||
内国債 | 8,638,880 | 101,243 | ||||
普通国債(うち復興債) | 7,533,970 (88,550) |
95,294 (△1,585) |
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長期国債(10年以上) | 5,073,456 | 98,935 | ||||
中期国債(2年から5年) | 2,062,901 | 15,818 | ||||
短期国債(1年以下) | 397,614 | △19,460 | ||||
財政投融資特別会計国債 | 1,012,928 | △29,176 | ||||
長期国債(10年以上) | 782,928 | △22,537 | ||||
中期国債(2年から5年) | 230,001 | △6,639 | ||||
交付国債 | 1,320 | △426 | ||||
出資・拠出国債 | 26,732 | 1,632 | ||||
株式会社日本政策投資銀行危機対応業務国債 | 13,247 | – | ||||
原子力損害賠償支援機構国債 | 48,559 | 35,429 | ||||
日本高速道路保有・債務返済機構債券承継国債 | 2,124 | △1,509 | ||||
借入金 | 546,167 | △8,880 | ||||
長期(1年超) | 164,179 | △403 | ||||
短期(1年以下) | 381,988 | △8,478 | ||||
政府短期証券 | 1,209,085 | 52,201 | ||||
合計 |
10,394,132 |
144,563 |
(データ出所:財務省HP http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/201406.html)
中期国債ファンドの元本残高
中期国債ファンドの過去10年の元本残高を見ると、2014年8月末が2,481億円で、10年前の2004年9月の6,614億円円に比べて半分以下に減少しています。これは、低金利の継続を反映して、利回りが魅力的でない状況が続いていることが要因であると考えられます。実際、2014年8月現在、中期国債ファンドを運用しているのは三菱UFJ投信、大和証券投資信託委託、みずほ投信投資顧問の3社だけですが、3社の中期国債ファンドの年換算利回りは、2014年9月末現在、0.041%から0.058%程度で、普通預金金利(年0.020%)よりは高いものの、あまり魅力的な水準とは言えない状況です。
(追記)
2016年2月に日本銀行がマイナス金利政策を導入したことを受け、国債や 短期金融資産の利回りも低下し、一部はマイナスの利回りで取引されるようになりました。このため、中期利付国債などの公社債で運用し、元本の安定性を重視する中期国債ファンドやMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の多くが運用を中止し、繰上償還されました。2017年9月末現在、中期国債ファンドとMMFは運用されていません。
(出所:投資信託協会)