投資信託の運用会社のいくつかが、「Climate action 100+」への参加を表明しています。では、この「Climate Action 100+」とは何でしょうか。
Climate Action 100+とは
Climate Action 100+(クライメート・アクション100+)は、世界の大規模投資家が連携して、気候変動に対応するための投資家主導のイニシアチブです。このイニシアチブの目的は、世界最大の温室効果ガス排出企業に対し、より強固な気候変動対策の実施を促すことにあります。つまり投資家が行うエンゲージメントの一つで、単独で行うのではなく、機関投資家が協働で行うものです。Climate Action 100+は2017年に開始されました。
Climate Action 100+の主な特徴と目標
- 参加投資家: Climate Action 100+には、世界中の機関投資家が参加しています。これには年金基金、保険会社、投資ファンド、財団などが含まれます。日本の投資信託の運用会社も参加しています。これらの企業に対して気候変動対策の強化を求めています。2024年1月現在、世界で700以上の投資家が参加しています。
- 対象企業: イニシアチブは、世界で最も多くの温室効果ガスを排出する100社以上の企業を対象としており、これらの企業は、世界全体の温室効果ガス排出量の大部分を占めていると考えられています。2024年1月現在、170社がエンゲージメントに参加しています。
- 主な要求事項: Climate Action 100+は、対象企業に対して、温室効果ガス排出量の削減、気候変動に関連する財務情報の透明性の向上、気候変動リスクの統合的な管理などを求めています。
- 企業との対話: このイニシアチブは、企業との建設的な対話を通じて、気候関連の問題への対応を促します。これには、企業の経営陣や取締役会との会議、株主提案の提出、公開書簡の発行などが含まれます。
- 長期的な目標: Climate Action 100+は、気候変動に対する長期的なアプローチを促進し、企業がパリ協定の目標に沿った行動を取ることを目指しています。
- 報告と進捗評価: このイニシアチブは、参加企業の進捗状況を定期的に評価し、その結果を報告しています。これにより、投資家は企業の気候変動対応に関する進捗を追跡し、その投資戦略を調整できます。
日本のClimate Action 100+参加投資家
2024年1月現在、次の日本の投資家がClimate Action 100+に参加しています。
- アセットマネジメントOne
- 大同生命
- 大和アセットマネジメント
- 福岡キャピタルマネジメント
- GPIF
- かんぽ生命保険
- 明治安田生命
- 三菱UFJアセットマネジメント
- 日興アセットマネジメント
- 日本生命
- ニッセイアセットマネジメント
- 野村アセットマネジメント
- 農林中金全共連アセットマネジメント
- りそなアセットマネジメント
- SOMPOアセットマネジメント
- 学校法人上智学院
- 住友生命保険
- 三井住友DSアセットマネジメント
- 三井住友トラストアセットマネジメント
- T&Dアセットマネジメント
- 太陽生命保険
- 第一フロンティア生命
- 第一生命保険
- 農林中金
国内のClimate Action 100+対象企業
2024年1月現在、次の企業がエンゲージメントの対象企業に含まれています。
- ダイキン工業
- ENEOSホールディングス
- 日立
- ホンダ自動車
- 三菱重工
- 日本製鉄
- 日産自動車
- パナソニックホールディングス
- スズキ自動車
- 東レ
- トヨタ自動車
Climate Action 100+は、気候変動問題への積極的な対応を促すために、世界中の投資家が一丸となって取り組む重要なイニシアチブです。それにより、大規模排出企業に対する影響力を行使し、より持続可能な経済への移行を加速させることを目指しています。