ファンドラップとは
証券会社が、投資家の資産管理、運用、投資アドバイス、売買の執行、口座管理など、資産運用に関する様々なービスを一括で提供し、手数料を証券やファンドなどの売買ごとではなく、投資家から預かっている運用資産残高の何パーセントという形で一括して徴収する口座のことをラップ口座と呼びますが、このラップ口座の中で、投資信託だけで運用を行なう口座・サービスをファンドラップと呼びます。
ファンドラップでは、証券会社等は顧客と投資一任契約を締結し、顧客の許容リスクや期待リターン等に応じて、複数の投資信託から顧客に適したポートフォリオを構築して運用を行ないます。ちなみにファンドラップの「ファンド(fund)」はここでは投資信託のことで、「ラップ(wrap)」というのは、包むという意味です。
投資一任契約
なお、投資一任契約とは、金融商品取引法において、「当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約」と定義されており、投資に係る判断や売買等を証券会社等に任せるということです。
ラップ口座では、手数料率は一定で、投資家の資産が増加すれば、サービスを提供する証券会社の手数料収入が増加することになります、投資家と証券会社双方の利害が一致することにもなります。証券会社に運用を一任した場合に、手数料かせぎのために証券会社が投資家の資産で売買を繰り返すといった弊害がなくなると言われています。ただし、ラップ口座を開設するためには、一般に、最低でも数百万円の資金が必要となります。また、提供される投資信託は証券会社等により異なります。
ラップ口座の伸び
ラップ口座の件数および残高は2014年以降急速に伸びています。日本投資顧問業協会によると、ラップ口座の件数は2019年3月末現在868,097件で、残高は約8.8兆円です。ラップ口座のうちファンドラップが概ね8割程度を占めていると言われており、ファンドラップが急速に拡大していることが伺えます。残高の伸びに伴いファンドラップ用の投資信託の設定も相次ぎました。
2020年2月末現在提供されているファンドラップの例:
- 野村ファンドラップ(野村証券)
- 日興ファンドラップ(SMBC日興証券)
- みずほ証券のファンドラップ(みずほ証券)
- ダイワファンドラップ(大和証券)
- 三井住友信託ファンドラップ(三井住友信託銀行)
- SMBCファンドラップ(三井住友銀行)
- 水戸ファンドラップ(水戸証券)
- 東海東京ファンドラップ(東海東京証券)