インパクト投資とは
インパクト投資とは、金融的なリターンだけでなく、特定の社会的問題あるいは環境問題を解決することを目的とした投資のことです。寄付や慈善事業とは異なり、あくまでも投資であり、社会的問題の解決を図る、つまり社会的影響(インパクト)を与えると共に金銭的リターンの獲得を目指します。
インパクト投資の規模と有効性の増大を目的に2007年に米国で設立された非営利団体である「Global Impact Investing Network(GIIN)」では、インパクト投資を次のように定義しています。
Impact investments are investments made into companies, organizations, and funds with the intention to generate social and environmental impact alongside a financial return.
日本語に訳すと、「インパクト投資は、金銭的リターンと同時に、社会的および環境的な影響を生みだすことを意図して企業、組織そしてファンドに対して行われる投資である」となります。
GSG国内諮問委員会によると、2019年3月末現在、日本におけるインパクト投資の市場規模は3,440億円と推計されています。
インパクト投資の対象
インパクト投資は、特定の地域の貧困の解決や特定の地域のクリーン・エネルギー活用による地域活性化、特定のコミュニティの貧困改善や教育水準の向上といった比較的小さなエリアを対象としたものから、世界銀行のグリーンボンドのように、気候変動といったグローバルな問題に取り組むプロジェクトを対象としたものまで、さまざまな規模のものがあります。
形態としては株式投資や債券投資、マイクロファイナンス、ファンドなどがあり、機関投資家、年金、個人投資家、ファミリーオフィス(富裕層の資産運用会社)などが、インパクト投資を行っています。
先進国の取り組みとしては、2013年G8サミット議長国の英国・キャメロン首相の呼びかけのもと、インパクト投資をグローバルに推進することを目的としてG8インパクト投資タスクフォースが創設されました。日本でも、G8インパクト投資タスクフォース諮問委員会がが設立されています。
インパクト投資の課題
インパクト投資の課題としては、本当に事業からリターンが得られるようになるのか、事業を行う団体がリターンを出せるか、投資家はどのような形で関与するのが最適なのか、問題解決に向けた進捗状況やゴール達成をどのように評価するのかなどがあります。既に、世界にはインパクト投資の評価を行っている機関もありますが、今後、投資家保護を含めて、評価方法や情報公開方法などが改善することがインパクト投資の発展の鍵であると考えられます。
インパクト投資の評価機関や情報サイト
- Evaluating Impact Investing
- Stanford Social Innovation Review
- GIIN