国連責任銀行原則とは?


国連責任銀行原則とは

責任銀行原則(PRB: Principles for Responsible Banking)とは、銀行の事業戦略とその実践を、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や気候変動に関するパリ協定などに示されているような世界共通の社会的目標と整合性を持たせるための枠組みです。国連責任投資原則の銀行版と捉えることができます。

この原則に署名することで、銀行は、国連の持続可能な開発目標、パリ協定、および各国の枠組み等で示された社会的目標と整合性を持って事業を行うために最大限の努力をし、世界が持続可能な未来に向けた目標を達成するために銀行として果たすべき役割や責任を明確にし、その実現のための目標を設定・公表し、その進捗状況を定期的に公表することが求められます。

責任銀行原則は、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱し2019年9月22日に発効しました。発行時点で、49カ国の132行が署名し、2020年6月末現在、署名銀行は180行を超えています。日本の銀行では、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングスが署名しています。

 

責任銀行原則

責任銀行原則は次の6原則で構成されています。(日本語は投信資料館が翻訳したものですので、正確な原則は英文を参照して下さい。)

(英語版:https://www.unepfi.org/banking/bankingprinciples/

 

原則1:整合性(アラインメント)

我々は、我々の事業戦略が、持続可能な開発な目標(SDGs)やパリ協定及び各国・地域の枠組で表明されているような個々人のニーズ及び社会的目標に即したものになるよう、またそうした目標に貢献できるようにします。

We will align our business strategy to be consistent with and contribute to individuals’ needs and society’s goals, as expressed in the Sustainable Development Goals, the Paris Climate Agreement and relevant national and regional frameworks.

 

原則2:影響(インパクト)と目標設定

我々は、継続的に、人々や環境に対して、我々の事業活動および提供する商品・サービスがもたらすマイナスの影響を低減する一方で、継続的にプラスの影響を増加させ、リスクを管理します。

We will continuously increase our positive impacts while reducing the negative impacts on, and managing the risks to, people and environment resulting from our activities, products, and services. To this end, we will set and publish targets where we can have the most significant impacts.

 

原則3:顧客(法人およびリテール)

我々は、責任を持って法人および個人のお客様と協力して、持続可能な慣行を奨励し、現在と将来の世代に共通の繁栄をもたらす経済活動を実現します。

We will work responsibly with our clients and our customers to encourage sustainable practices and enable economic activities that create shared prosperity for current and future generations.

 

原則4:利害関係者

我々は、社会の目標を達成するために、関係する利害関係者と積極的かつ責任を持って協議、協力、提携します。

We will proactively and responsibly consult, engage and partner with relevant stakeholders to achieve society’s goals.

 

原則5:ガバナンスと企業文化

我々は、責任ある銀行業のための効果的なコーポレート・ガバナンスおよび企業文化を通じて、これらの原則に対するコミットメントを果たします。

We will implement our commitment to these Principles through effective governance and a culture of responsible banking.

 

原則6: 透明性と説明責任

我々は、これらの原則の個別および全体的な実施状況を定期的に見直し、プラスとマイナスの影響、および社会的目標への貢献について、透明性を保ち、説明責任を果たします。

We will periodically review our individual and collective implementation of these Principles and be transparent about and accountable for our positive and negative impacts and our contribution to society’s goals.