ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザー(robo-advisor)は、運用会社や証券会社などが、最新のAI(artificial intelligence=人口知能)等を利用して、インターネットやアプリを通じて、投資助言、あるいは投資助言と運用を提供するサービスのことです。証券会社や運用会社が独自に、あるいは外部機関との提携により開発したアルゴリズムを使い、ユーザーに最適な資産配分や具体的な投資対象等を助言します。
ロボアドバイザーの「ロボ」はロボットのことで、「アドバイザー」は投資助言のことです。つまり、最新のAIを利用して投資助言を行うロボットです。ロボットといっても、実際にはコンピューターやアプリですので、投資家はパソコンやスマホの画面などを見ながら利用することになります。
アルゴリズムとは、算法のことで、国立情報額研究所情報学基礎研究系 アルゴリズム基礎研究部門准教授宇野毅明氏のホームページにアルゴリズムについての分かり易い説明が記載されていたので次に転用させて頂きます。
アルゴリズムとは
コンピューターが計算を行う、その計算方法のことをアルゴリズムといいます。違う言い方をすれば、コンピュータープログラムの設計図のことをアルゴリズムといいます。高性能・高速なソフトウェア、あるいは高性能・高速なプログラムには、良い設計図はかかせません。この、良い設計図を書くためにはどうすればいいのだろうか、ということを研究するのが、アルゴリズムの研究です。
また、最適化とはいくつかの条件を満たすものの中で一番いいものを、コンピューターを使って見つけることをいいます。
ロボアドバイザーでは、ユーザーは、年齢、性別、リスクに対する考え方、投資経験、運用期間など、いくつかの質問に対する回答を入力することにより、ロボット(コンピューター)が判断した最適な資産配分(アセットアロケーション)を助言します。また、その資産配分に合った投資信託などの具体的な商品の組み合わせの提供や発注、リバランスなどの運用サービスを提供するものもあります。ロボアドバイザーでは、証券会社や運用会社の人やフィナンシャル・アドバイザーなどの人間が介在しないという特徴があります。また、ロボアドバイザーの仕組みは、最新のAI(人口知能)を利用して、各金融機関が独自に、あるいはシステム会社や評価会社と提携して開発しています。
ここでいう資産配分(アセットアロケーション)は、日本の株式に何パーセント、米国の債券に何パーセント、新興国の株式に何パーセントという投資資金の投資対象ごとの割合のことです。
ロボアドバイザーのメリットとデメリット
一般的に、ロボアドバイザーのメリットとしては次が挙げられます。
- 最新のAIや高度なアルゴリズムを利用できる。
- 低コストで助言を受けられる。
- インターネットやアプリで手軽に投資助言や運用サービスを受けられる。
- 人間を介さないので気楽である。
- 運用会社や証券会社との利益相反が生じない。
一方で、ロボアドバイザーのデメリットや疑問としては次が挙げられます。
- 人間を介した方がよりきめ細かな助言が可能ではないか。
- AIやアルゴリズムがどれほど優れているのかわからない。各社のロボアドバイザーの違いや優劣がわからない。
- 提供される最適資産配分がサービス提供会社によりかなり異なる。
- ロボアドバイザーにバグはないのか。
- わずか5~10程度の質問で十分なのか。
- 本当に低コストなのか。
ロボアドバイザーに関する研究レポートや警告などがインターネット上で多く提供されていますので、興味のある方はお読みください。
- IM Guidance Update:robo-advisor(米国証券取引委員会)
- T. Kearney Robo-Advisory Services Study (A.T.カーニー)
- Report on Digital Investment Advice(米国金融取引業規制機構)
- Investor Alert: Automated Investment Tools(米国証券取引委員会)
2種類のロボアドバイザー
国内で提供されているロボアドバイザーサービスには、リスク許容度の診断と最適資産配分の提案といった助言だけを提供するだけのもの(助言型)と実際に発注・リバランスなどの運用まで自動で行うオンライン資産運用サービスを提供するもの(運用型)があります。
運用まで行うサービスを利用する場合には、通常は提供会社との間で投資一任契約を締結する必要があります。投資一任契約は、預り資産(運用資産)に対して何パーセントという形で手数料(投資一任報酬)がかかります。なお、助言型でも運用型でも、投資対象(投資信託・ETF)の信託報酬や信託財産留保額(かからないファンドもある)、監査費用等などの間接的に負担する費用は発生します。助言型では、投資信託・ETFの購入には、購入手数料がかかるものがあります。必要となるコストは金融機関により異なりますので、きちんと確認することが大切です。
ロボアドバイザーの例
サービス名/ サービス提供会社/ サービスのタイプ(助言型又は運用型) |
特徴/対象資産など | 最低投資金額/手数料(投資信託の信託報酬は除く) |
WealthNaviウェルスナビ株式会社
運用型 |
6項目の質問に答えると、運用プランと最適なポートフォリオを提案。目標金額とリスク許容度を決定した後に、リスク許容度に応じた最適ポートフォリオの構築。ポートフォリオの提案、発注から運用期間中のリバランス等まで、ロボアドバイザーが全て自動で行う。対象:ニューヨーク証券取引所に上場のETF。 | 最低投資金額:100万円。投資一任報酬:預り資産の評価額に対し、1%(年率・税別)。預かり資産が3,000万円を超える部分は0.5%(年率、税別)の割引手数料を適用。 |
デジタルアドバイザー クロエエイト証券
運用型 |
5項目の質問に答えて、運用目標を設定すると、最適なポートフォリオを提案。運用開始後はロボアドバイザーが自動で運用。スマートフォンアプリ。
対象:東京証券取引所に上場のETF。 |
最低投資金額:1万円。投資一任報酬:預り資産の0.88%(年率・税別)。 |
FundRoboSBI証券
助言型 |
質問項目6項目に応えると堅実派から積極派までの5つの運用スタイルからお薦めの運用スタイルを助言。更に投資したい地域を選択すると1~3本の投資信託を提案。対象:SBI証券が取り扱う約2,300本の国内投資信託の中から絞り込んだFundRobo対象銘柄350本。 | 利用料無料。 |
Theo(テオ)株式会社お金のデザイン
運用型 |
5項目の質問に答えると最適ポートフォリオを提案。ロボアドバイザーがETFの買い付けを実施し、証券口座上に実際にポートフォリオを構築。一度構築したポートフォリオを定期的なリバランスで自動でメンテナンスする。対象:ニューヨーク証券取引所に上場するETF。 | 最低投資金額:10万円。投資一任報酬:預り資産の1.0%(年率・税別) |
ダイワファンドラップ オンライン大和証券投資信託委託
運用型 |
質問(30項目以上)に答え、プランを選び、投資一任契約を締結。サービス開始後は自動運用され、指定された運用方針に従って自動的にリバランスを行い、また、経済環境の変化に応じた基準配分比率の変更も実施する。対象:ダイワファンドラップオンライン インデックス・シリーズの投資信託9本。 | 最低投資金額:50万円投資一任報酬:預り資産の1.0%(年率・税別) |
カライス東海東京証券
運用型 |
7つの質問に答えると、リスク許容度を診断し、それを基に最適なポートフォリオと、それを実現するバランス型投資信託が提示される。購入後は運用環境の変動に応じて自動でリバランスを実施。
対象:三菱UFJ国際投信のバランス型投資信託(eMAXIS) |
利用料無料。 |
Funds Robo野村アセットマネジメント
助言型 |
7項目の質問に答えると、投資スタイルを診断。診断結果に合ったファンドを提案し、その分析結果を表示。シミュレーションの計算を行うだけで、実際の取引は、取扱金融機関で行う。
対象:野村アセットマネジメントが運用するFunds-iのインデックスファンド、又は、My Funds-iシリーズの投資信託。 |
利用料無料。 |
投信工房松井証券
助言型 |
8項目の質問に答えるとリスク許容度を診断し、それに合った低コストの投資信託で構成されたポートフォリオを提案。そのポートフォリオで100万円を10年間運用した場合のシミュレーション結果を提示。提案されたポートフォリオのカスタマイズを含めた最終判断をユーザー自身が行うため投資一任契約の締結(報酬)が不要。
対象:松井証券が取り扱う投資信託121本(2017年6月7日現在)。 |
投信工房の利用料は無料。積立投資は500円から可能。
ポートフォリオに組み入れる投資信託の購入手数料は全て無料。 |
Answerマネックス証券
助言型 |
自分が実際に保有する投資信託を登録し、目標リターンと運用期間を決めると、その目標に近づけるための銘柄を提案。保有銘柄は金融機関のサイトからの取り込み可能。スマホ用アプリ。無料で誰でもダウンロード可能。
対象:国内籍公募投資信託:約6,100銘柄。 |
利用料無料。 |
MSV LIFEマネックス・セゾン・バンガード投資顧問
運用型 |
運用の目的を選択し、リスク許容度に関する6つの質問に答えると資金計画シミュレーション、運用戦略、組入銘柄(上位10位銘柄)が提示される。投資一任口座を提携金融機関(2017年6月7日現在、マネックス証券)にて行い、投資一任契約をマネックス・セゾン・バンガード投資顧問との間で締結する。
対象:マネックス・セゾン・バンガード投資顧問が運用するMSV内外ETF資産配分ファンドA~Hコースの8本の投資信託。ファンドの投資対象は |
投資一任報酬:0.648%。実質コスト (投資一任契約報酬、組入投資信託の信託報酬およびETFの平均経費率を含む)は、年率1.0%未満(税込)を目指す。
最低投資金額:1万円 |
SMART FOLIOみずほ銀行
助言型 |
7項目の質問に答え、投資ゴールについての追加の質問に答えるゴールに向けたモデルポートフォリオが提示され、それに合った具体的なファンドが表示される。投資金額を入力するとファンドごとに投資金額が配分され、そのままワンクリックで購入できる。みずほ銀行のみずほDIRECTの利用者向けサービス。
対象:i-mizuhoインデックスシリーズの投資信託。 |
利用料無料。 |
PORTSTAR三菱UFJ国際投信
助言型 |
5項目の質問に答えると、リスク許容度の診断を行い、最適資産配分を提案。それに合ったお薦めファンド1本を提案。対象:三菱UFJ国際投信の運用する5種類のeMAXIS最適化バランス・シリーズの5本の投資信託。 | 利用料無料。 |
楽ラップ楽天証券
運用型 |
15項目の質問に答えると、最適な運用コースを提案。投資一任契約を締結し運用が開始されると自動運用(売買、リバランス)が行われる。下落ショック軽減機能有り。対象:ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社のインデックスファンド及びアセットマネジメントOne株式会社のたわらノーロードファンドシリーズの投資信託。 | 固定報酬型:預り資産の0.702%(年率・税込)成功報酬併用型:預り資産の0.594%(年率・税込)+成功報酬
最低投資金額:10万円。 |
(投信資料館調べ。2017年6月2日~2017年6月6日までの調査結果)詳細ならびに最新の情報については各金融機関のHPでご確認下さい。)