SRI(社会的責任投資)の種類
日本初のSRIファンドとして「日興エコファンド」が設定されたのは1999年8月20日でした。それから数多くのSRIファンドが設定されてきました。サステナブル投資(社会的責任投資、ESG投資等)を、日本で普及・発展させる活動をしているNPO法人社会的責任投資フォーラム(JSIF) によると、2015年6月末現在、78 本のSRIファンドが運用されています。
日本の投資信託では環境問題への対応が優れている企業に投資する、あるいは環境改善に寄与する優れた技術・製品を有する企業に投資するといった環境分野におけるポジティブ・スクリーニング型のSRIファンドが多いのですが、SRIには他にもさまざまなタイプの投資があります。
ここでは、世界のSRI投資に関わる団体の連合体であるGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)による分類とその定義を紹介します。この分類は投資信託だけでなく、あらゆるSRI投資において採用されています。定義の英語での原文はGSIAのHPでご確認下さい。
GSIAによるSRIの分類
GSIAでは、社会的責任投資(SRI)を次の7つに分類しています。
1. ネガティブ/排除・スクリーニング
2. ポジティブ・スクリーニング/ベストインクラス
3. 規範に基づくスクリーニング
4. ESGインテグレーション
5. 持続可能テーマ投資
6. インパクト/コミュニティ投資
7. コーポレート・エンゲージメント/株主行動
1. ネガティブ/排除・スクリーニング(Negative/exclusionary screening)
特定のESG(環境、社会及び企業統治)基準・価値観に基づいて、特定のセクターや企業をファンドやポートフォリオから排除する方法。
例えば、原発関連企業、武器製造会社には投資を行なわない。たばこメーカーやアルコールメーカーをファンドに組み入れないという方法。
2. ポジティブ/クラス最高・スクリーニング(Positive/best-in-class screening)
企業のESGへの取り組みを評価して、その評価が同業他社や比較対象の他のグループに比べて高い業種、企業あるいはプロジェクトを投資対象とする手法。
3. 規範に基づくスクリーニング(Norms-based screening)
国連グローバル・コンパクトの10原則のような国際的に合意された規範に基づいて、投資対象をスクリーニングする手法。規範を満たしていない企業を投資対象から排除する。
なお、国連グローバル・コンパクト(UNGC)は、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組みで、コフィー・アナン国際連合事務総長が1999年1月に提唱し、2000年7月に発足しました。国連グローバル・コンパクトでは次の10原則を設けています。各原則の詳細は国連のHPをご覧ください。
国連グローバル・コンパクトの10原則
人 権
原則1: 人権擁護の支持と尊重
原則2: 人権侵害への非加担
労 働
原則3: 組合結成と団体交渉権の実効化
原則4: 強制労働の排除
原則5: 児童労働の実効的な排除
原則6: 雇用と職業の差別撤廃
環 境
原則7: 環境問題の予防的アプローチ
原則8: 環境に対する責任のイニシアティブ
原則9: 環境にやさしい技術の開発と普及
腐敗防止
原則10: 強要・賄賂等の腐敗防止の取組み
4. ESGインテグレーション(Integration of ESG factors)
伝統的な財務分析にESG(環境、社会、企業統治)要因を組み合わせた選別手法。
5. 持続可能テーマ投資(Sustainability themed investing)
クリーン・エネルギー、環境技術、持続可能な農業などの持続可能性(サステナビリティー)に関連したテーマや資産に的を絞って投資を行なう手法。
6.インパクト/コミュニティ投資(Impact/community investing)
特定の社会的問題あるいは環境問題を解決することを目的とした投資。コミュニティ投資においては、伝統的に十分なサービスを受けていない個人や地域、あるいは明確な社会的あるいは環境目的を持つ事業に対して資金を直接提供する。