政府系投資ファンドとは
政府系投資ファンドは国の公的資産を活用した投資ファンドのことです。投資信託ではありません。英語ではソブリン・ウェルス・ファンドと呼ばれています。サウジアラビアやクウェートといった石油原産国などの政府系投資ファンドは、外国為替市場などの国際金融市場においては、非常に活発なプレーヤーで、東京市場においてもこれらの政府系投資ファンドの買いや売りによって市場が動くことも珍しいことではありません。
世界的に有名な政府系ファンドの例
- Abu Dhabi Investment Authority(UAE)
- SAFE Investment Company(中国)
- Government Pension Fund – Global(ノルウェー)
- SAMA Foreign Holdings(サウジアラビア)
- China Investment Corporation(中国)
- Kuwait Investment Authority(クウェイト)
- Hong Kong Monetary Authority Investment Portfolio(中国)
- Government of Singapore Investment Corporation(シンガポール)
- Temasek Holdings(シンガポール)
- National Welfare Fund(ロシア)
石油や天然資源価格の高騰により、資源国の政府系投資ファンドの存在は益々大きなものになってきています。そのため、G7やIMFなどにおいては、これらの政府系投資ファンドの行動に対して、何らかの制限を設けるべきではないかという議論もあります。
Statistaによると、世界最大の政府系ファンドは、ノルウェーの政府年金基金(Government Pension Fund-Global)で、2017年12月末現在の運用残高は約1兆ドルだということです。
日本における議論
日本では政府系投資ファンドはありませんが、小泉政権の頃から自由民主党の国会議員を中心として、政府系ファンドの設立を求める声があり、2007年12月には政府系投資ファンドの設立を求める「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」が発足しましたが、2017年現在、活動は不明な状況にあります。国民の財産である国家資産を変動が激しく、競争の厳しい国際金融市場においてリスクに晒すことを日本国民が望んでいるのか、国際市場において責任ある運用ができる運用のプロを選別する能力が国にあるのかなど、十分な議論や検証が必要な問題です。
【参考資料】
- The Rise of Sovereign Wealth Funds (IMF)