ラップ口座とは
ラップ口座とは、証券会社が、個人投資家の資産管理、運用、投資アドバイス、売買の執行、口座管理など、資産運用に関する様々なービスを提供し、手数料を売買ごとではなく、投資家から預かっている運用資産残高の何パーセントという形で一括して徴収する口座のことです。
ちなみに「ラップ(wrap)」というのは、包むという意味です。つまり、資産運用に関するあらゆるサービスを包括した口座・サービスと理解すればよいでしょう。
ラップ口座では、手数料率は一定で、投資家の資産が増加すれば、サービスを提供する証券会社の手数料収入が増加することになります、投資家と証券会社双方の利害が一致することにもなります。証券会社に運用を一任した場合に、手数料かせぎのために証券会社が投資家の資産で売買を繰り返すといった弊害がなくなると言われています。ただし、ラップ口座を開設するためには、一般に、最低でも数百万円の資金が必要となります。
日本におけるラップ口座の歴史
ラップ口座は、日本では、証券会社が投資顧問業務を兼務できるようになったことを受けて1999年に登場したサービスです。日興コーディアル・グループのグローバル・ラップ・コンサルティング・グループを含め、いくつかの会社が既にラップ口座によるサービスを提供しました。しかし、実際には様々な規制があったために、ラップ口座が投資家に広く浸透するには至りませんでした。
その後、証券市場の構造改革の一環として、誰もが投資しやすい市場を整備するという目的で、2004年4月1日に証券取引法(現、金融商品取引法)の改正が実施され、ラップ口座に関する規制が緩和されたことで、再びラップ口座が注目を浴びるようになりました。
また、ラップ口座の中で、投資信託だけで運用を行なう口座・サービスをファンドラップと呼びますが、多くの投資信託会社や証券会社が提供しています。
ファンドラップの流れ
投資家は、ファンドラップ口座(サービス)を提供している証券会社などに、資産運用に関する相談を行い、証券会社などから、最適な運用方法の提案を受けます。それを了承した場合には、証券会社との間で投資一任契約を締結します。この契約により、投資家は証券会社に投資判断と売買執行を一任することになります。サービスを提供する証券会社等は、投資家が合意した提案に基づき、投資家の資金を投資信託で運用し、定期的に運用状況の報告を行います。これらのサービスの提供の対価として、投資家は証券会社に投資一任契約で合意された割合(運用残高に対する)の手数料を支払います。
米国のラップ口座
日本と比較してラップ口座が普及していると言われる米国では、様々なラップ口座があります。ラップ講座は、米国では「wrap fee program」と呼ばれますが、提供する会社により、呼び方はアセット・アロケーション・プログラム(asset allocation program)、アセット・マネジメント・プログラム( asset management program)、ミニ・アカウント、SMAなど様々です。共通しているのは、資産運用を一任して、資産残高に対する割合で手数料を支払うということです。一般的なラップ口座は、金融機関が、投資家の目的に合わせて、投資顧問会社を紹介するサービスです。投資対象には、株式、債券、派生商品など様々な商品が含まれています。投資家は基本的に投資顧問会社に運用を任せます。
また、投資信託ラップ(mutual fund wrap)もかなり普及しています。投資信託ラップでは、投資対象は投資信託に限定されており、金融機関が、そのラップ口座のために用意された投資信託の中からいくつかの投資信託を選び、投資家の目的にあったポートフォリオを構築するサービスです。