グリーンボンドとは
グリーンボンド(環境債)とは、企業や地方自治体等が、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券のことです。一般的には、国際資本市場協会(International Capital Market Association=ICMA)が発行するグリーンボンド原則(Green Bond Principle=GBP)に則って、環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)のために発行される債券のことです。グリーンボンドへの投資はESG投資の一つです。なお、国際資本市場協会は世界60カ国超の国の資本市場に関係する金融機関など約530社を会員とする(2018年3月末現在)国際的な業界団体です。
ICMAでは、グリーンボンドを、「調達資金の全てが、新規又は既存の適格なグリーンプロジェクトの一部又は全部の初期投資又はリファイナンスのみに充当され、かつ、グリーンボンド原則の4つの核となる要素に適合している様々な種類の債券」と定義しています。
グリーンボンド原則の4つの核
グリーンボンド原則の4つの核は次の通りです。
- 調達資金の使途
- プロジェクトの評価と選定のプロセス
- 調達資金の管理
- レポーティング
上記の4項目を核としたグリーンボンド原則(抜粋)は次の通りです。
- 調達資金の使途について・・・調達資金がグリーンプロジェクトのために使われること。
- プロジェクトの評価と選定のプロセスについて・・・グリーンボンドの発行体は、環境面での持続可能性に係る目標、対象となるプロジェクトが前途の適格なグリーンプロジェクトの事業区分に含まれると判断するプロセス、適格性についてのクライテリアを投資家に対して明確に伝えること。
- 調達資金の管理・・・グリーンボンドによって調達される資金に係る手取金の全部、あるいは手取金と同等の金額は、サブアカウントで管理され、サブ・ポートフォリオに組み入れ、又はその他の適切な方法により追跡されること。
- レポーティング・・・発行体は、全ての調達資金が充当されるまで、またその後においても状況の変化があった場合は必要に応じて、毎年更新される調達資金の使途に係る入手可能な最新の情報を作成し、保存すること。
グリーンボンド原則の全文→https://www.icmagroup.org/(原則は、毎年見直しが行われるので最新のものはICMAのHPでご確認ください。
グリーンボンドの種類
グリーンボンドには4つの種類があります(2017年6月現在)。
- Standard Green Use of Proceeds Bond(標準的グリーンボンド)・・・GBPに適合する発行体への遡及性を有する標準的な債券。
- Green Revenue Bond(グリーンレベニュー債)・・・発行体への遡及性を有しないGBPに適合する債券で、債券の信用の源泉は、対象となるグリーンプロジェクトからの事業収入や使用料、税金などの将来に見込まれるキャッシュフローであり、債券により調達された資金の使途は、信用の源泉との関係の有無を問わないグリーンプロジェクトとなる。
- Green Project Bond(グリーンプロジェクト債)・・・一つまたは複数のグリーンプロジェクトに係るGBPに適合するプロジェクトボンドで、発行体への潜在的な遡及性の有無に関わらず、投資家は当該プロジェクトのリスクに直接晒される。
- Green Securitized Bond(グリーンク証券化債)・・・一つまたは複数の具体的なグリーンプロジェクトを裏付け資産とするGBPに適合する債券で、カバードボンドや、ABS、MBS、その他の仕組商品を含むが、これらに限定されるものではない。投資家にとっての一義的な償還原資は一般的に裏付け資産からのキャッシュフローとなる。このタイプの債券には、例として屋根型太陽光発電資産や省エネ設備のABSが含まれる。
日本におけるグリーンボンドの状況
環境省が、グリーンボンドの市場の国際的な発展と歩調を合わせ、国内においてもグリーンボンドの認知度を高め、国内におけるグリーンボンドの発行と投資 をさらに拡大することを目指して2017年3月に「グリーンボンド・ガイドライン2017」を策定しました。その後、環境省は「グリーンボンドガイドライン2020年版」、「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」を策定しています。
2018年4月16日に、日本リテールファンド投資法人が、Jリート初のグリーンボンドの発行を発表しました。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、早ければ2020年度にも環境分野への配慮に優れたグリーンボンド(環境債)への投資を本格的に始める方針であることが報道され、グリーンボンドへの注目がさらに高まっています。