不動産投資法人の業績修正
金融取引所に上場している不動産投資法人(=不動産投資信託)や企業が既に決算短信などで開示した業績予想値を上方又は下方に修正し、それを投資家に開示することを業績修正といいます。
投資家は企業が公表した業績予想をもとに株式や投資口の売買を行なっています。業績予想値は株価に重大な影響を与える可能性があるため、企業が既に公表している予想値と新たに算出された予想値が乖離している場合には、すみやかに公開することが求められています。
業績修正についての東京証券取引所のルール
東京証券取引所の有価証券上場規定においては、次のように定められています。
(予想値の修正等)
第405条 上場会社は、当該上場会社の属する企業集団の売上高、営業利益、経常利益又は純利益について、公表がされた直近の予想値に比較して当該上場会社が新たに算出した予想値又は当連結会計年度の決算において差異(投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして施行規則で定める基準に該当するものに限る。)が生じた場合は、直ちにその内容を開示しなければならない。
また、東京証券取引所では、次期の業績予想の形式によらずに将来予測情報の開示を行なった場合であっても、開示後に新たに算出された予想値や事業年度末の経過後に確定した実績値が、直前に公表された情報と比較して乖離している場合であって、当該乖離の内容等が投資者の投資判断に重要な影響を与える可能性がある場合には、適時開示の一般原則(有価証券上場規程第411条の2)にしたがって、新たに算出された予想値の適時開示が必要である、としています。
東京証券取引所有価証券上場規定第411条の2
(適時適切な会社情報の開示の実践)
この節の規定は会社情報の適時開示等について上場会社が遵守すべき最低限の要件、方法等を定めたものであり、上場会社は、同節の規定を理由としてより適時、適切な会社情報の開示を怠ってはならない。
不動産投資法人(不動産投資信託)においても、前期の業績発表時に、次期の営業収益、営業利益、経常利益、純利益などの業績予想値とともに分配金予想値が公表されており、その後に新たに算出された数値が当初発表された数値と乖離した場合には適宜修正値が公表されます。
業績修正の例
例えば、2013年11月には、次の業績修正が不動産投資信託によって発表されました。
11月5日 日本プロロジスリート投資法人が第3 期(平成25 年12 月1 日~平成26 年5 月31 日)の分配金予想額の上方修正を発表。修正後の分配金額は投資口1 口あたり18,251 円(利益超過分配額2,419 円を含む)。
11月7日 トップリート投資法人が第16 期(平成25 年11 月1 日~平成26 年4 月30 日)の分配金予想額の上方修正を発表。修正後の分配金額は投資口1 口あたり10,150 円。
11月15日 いちご不動産投資法人が第16 期(平成25 年5 月1 日~平成25 年10 月31 日)の分配金予想額の上方修正を発表。修正後の分配金額は投資口1 口あたり1,530 円。
11月22日 アクティビア・プロパティーズ投資法人が第5 期(平成25 年12 月1 日~平成26 年5 月31 日)の分配金予想額の上方修正を発表。修正後の分配金額は投資口1 口あたり15,504 円。
11月29日 フロンティア不動産投資法人が第19 期(平成25 年7 月1 日~平成25 年12 月31 日)の分配金予想額の上方修正を発表。修正後の分配金額は投資口1 口あたり18,700 円。
これらの業績修正については、東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービスで公表されています。また、各不動産投資法人のホームページでも公表されるほか、過去の業績修正については、投資信託協会が毎月作成している「不動産投信ニュース」で確認することができます。