投資口の希薄化に関するリスクとは


投資口の希薄化に関するリスク

投資口の希薄化に関するリスクとは、不動産投資法人が公募などにより増資をした場合に、発行済み投資口数が増加することで1口当たり利益や1口当たり分配金の額が減少する可能性や、その影響による投資口価格の下落の可能性のことです。

 

投資口の希薄化リスクの例

例えば、利益が10億円の投資法人において、発行済み投資口数が100,000口、1口当たり当期利益が10,000円、1口当たり分配金の予想が9,500円(配当性向95%)だったとします。

ここで10,000口の投資口の追加発行が行われた場合を考えてみましょう。当期利益が変わらないのであれば、100億円の利益を110,000口で分けることになり、1口当たり利益は9,090円に減少(希薄化)することになります。実際の1口当たり分配金は、必ずしも純利益と同じ割合で希薄化するとは限りませんが、概ね8,635円程度に減少すると推測されます。1口当たり利益(分配金)が減少するとなると、それを嫌気して投資口価格も下落する可能性があります。

 

不動産投資法人の資金調達

不動産投資法人(不動産投資信託)は、資金調達のために投資口を追加発行することがあります。これは、一般の上場企業が資金調達のために株式を追加発行するのと同じことです。

不動産投資信託が増資を含めた資金調達を行う理由には、資産の取得、建物等の修繕、投資法人の運営のための資金、借入金の返済、投資法人債償還金の手当、敷金・保証金などの債務の返済などがあります。

 

希薄化しないこともある

ただし、増資を行っても、必ずしも利益や分配金が減少するとは限りません。増資により調達した資金で、新たな不動産を購入することで、そこからの収入により営業収益や利益が増加し、それに伴い分配金が引き上げられることもあります。

多くの不動産投資法人では、公募増資の発表の同日に、運用状況の予想についても修正を公表しますが、業績予想は上方修正されることが多くあります。

実際に、2018年1月から3月までの3ヶ月間の状況を見ると、この間に、阪急リート投資法人大和ハウスリート投資法人福岡リート投資法人オリックス不動産投資法人野村不動産マスターファンド投資法人日本プロロジスリート投資法人GLP投資法人産業ファンド投資法人ジャパンリアルエステイト投資法人の9投資法人が新投資口の発行を発表し、同じ日に運用状況の予想を発表していますが、9社中8社が直近の業績について上方修正を行い、残る1社についても直近の業績は下方修正したものの、翌期については上方修正しています(投信資料館調べ)。