不動産投資信託のNAV倍率とは
不動産投資信託のNAV倍率は、不動産投資信託の1口当たり投資口価格が1口当たり純資産額に対して何倍かを示すものです。純資産額は資産から負債を差し引いた額のことで、これを発行済投資口数で除したものが1口当たり純資産額となります。NAVとは純資産額を意味する英語のNet Asset Valueのことです。
NAV倍率=1口当たり投資口価格÷1口当たり純資産額
NAV倍率は、不動産投資信託に投資する際に、投資口価格が純資産と比較して割高か割安かを判断する指標の一つとして利用されています。一般に1.0以上であると割高であると判断され、1.0未満であると割安であると判断されます。
NAV倍率の計算
例えば、ABCリート投資法人という不動産投資信託があり、同投資法人の2016年8月期の決算によると、2016年8月末の資産合計額が約3,000億円、負債合計額が約2,000億円だったとします。純資産額は約1,000億円です。同じく8月末時点での発行済み投資口数が700,000口だったとします。1,000億円をこの投資口数で割った142,857円が1口当たり純資産額となります。この投資法人の直近の投資口価格が180,000円だったとします。すると、NAV倍率は180,000円÷142,857円=1.26倍となり、割高傾向であると判断されます。
なお、各投資法人の1口当り純資産額は、各社が公表している決算短信に記載されています。
REIT市場全体のNAV倍率
1社だけでなく、複数の投資法人のNAV倍率を比較することも大切です。また、市場全体のNAV倍率を見ることで、市場全体が割高の傾向にあるのか、購入しようとしているリートが市場全体と比べてどうなのかを知ることができます。
不動産証券化協会が公表しているデータによると、J-REIT市場全体のNAV倍率は、2002年以降次のように推移してきました。リーマンショックを受けて投資口価格が下落したために2008年のNAV倍率は0.64まで低下しましたが、その後回復し、2014年には過去最高となる1.57倍となりました。2015年以降は再び低下傾向となり、2016年のNAV倍率は1.24倍でした。