オーバーアロットメントによる売出しとは
不動産投資法人が、公募による新投資口の発行や売出しを行なう際に、予定の数量を超える需要があった場合に、主幹事証券会社が対象投資法人の投資主などから一時的に投資口を借りて、公募・売出しと同じ条件で、追加で投資家に投資口を販売することをオーバーアロットメントによる売出しと言います。なお、オーバーアロットメントは英語のover-allotmentのことで、超過割り当てと訳されます。
不動産投資法人は、オフィスビルや住宅などの資産の取得、修繕、投資法人の運営に必要な資金の確保、敷金・保証金の返済、借入金の返済、投資法人債の債務の返済など様々な理由で資金調達を行ないます。
その資金調達のために公募による新投資口の発行や売出しを行なう際に、ブックビルディング期間と呼ばれる期間を設け、投資口に対する需要状況等を把握します。この際に、想定していた公募や売出しの数量を超える需要があった場合に、主幹事証券会社が、対象投資法人の投資主などから一時的に投資口を借りて、公募・売出しと同じ条件で、追加で投資家に投資口を販売(オーバーアロットメント)することになります。
オーバーアロットメントによる売出しの例
例えば、○○○不動産投資法人が新投資口発行及び投資口売出しを発表し、その内容が一般募集による発行新投資口数が 50,000 口。オーバーアロットメントによる売出しが 2,200 口であったとします。
一般募集による発行新投資口数の50,000口については、投資法人が新たに投資口を発行します。新投資口発行前の発行済投資口数が200,000口であった場合、新投資口の発行後の発行済投資口数は250,000口に増えます。それに伴い50,000口分の新たな資金が投資法人に入ってきます。これは株式会社による増資と同じものです。
一方で、オーバーアロットメントによる売出しについては、仮に、需要がとても強く、予定している発行新投資口数である50,000口を上回る需要がある場合には、オーバーアロットメントによる売出しを行ないます。主幹事証券会社は投資法人の投資主等から一時的に2,200口の投資口を借り入れ、一般募集の発行価格(募集価格)と同じ価格で投資家に販売します。
この時、需要状況により、オーバーアロットメントによる売出しの口数は減少したり、又は、オーバーアロットメントによる売出しそのものが中止される場合があります。この決定は、公募の発行価格等決定日に行なわれます。
オーバーアロットメントによる売出しの上限
オーバーアロットメントによる売出しの上限口数は、公募・売出し数量の15%が上限と決められています。上記のケースであれば、新たに発行される新投資口数は50,000口ですから、オーバーアロットメントによる売出しの上限は7,500口となりますが、この範囲で2,200口と決定したという想定です。なお、売出しの上限等を含む規制やルールなどは変更されることがあります。
オーバーアロットメントによる売出しが行なわれても、この時点では、投資口はもともと別の株主が保有していたものですから、投資法人の発行済み投資口数に影響は与えません。