不動産投資信託の合併
不動産投資信託(投資法人・J-REIT)が合併する場合、吸収合併と新設合併があります。
吸収合併
吸収合併とは一方の投資法人が、もう一方の投資法人を吸収する形態の合併で、吸収する側が存続法人となり、吸収される側は消滅します。前者を合併存続投資法人、後者を合併消滅投資法人と呼びます。
例えば、J-REIT史上初の合併として、2010年2月1日に合併した東京グロースリート投資法人とエルシーピー投資法人の合併が吸収合併によるものでした。この合併の存続法人は東京グロースリート投資法人で、エルシーピー投資法人は消滅しました。エルシーピー投資法人の東証REIT市場における最終取引日(2010年1月26日)の終値は67,500円でした。同法人は、翌2010年1月27日に上場廃止となり、同年2月1日付けで吸収合併され、同日に東京グロースリート投資法人は社名をインヴィンシブル投資法人に変更しました。
新設合併
不動産投資信託の新設合併とは、合併する二つの投資法人が新しい投資法人を設立し、既存の二つの投資法人は共に新設合併消滅法人となり解散するというものです。
例えば、2010年3月1日に合併したアドバンス・レジデンス投資法人と日本レジデンシャル投資法人の合併がその一例です。新たに設立された投資法人名はアドバンス・レジデンス投資法人(社名は合併前と同じですが、投資法人としては新設されたものでした)。
新設合併のプロセス
この不動産投資法人の新設合併(アドバンス・レジデンス投資法人および日本レジデンシャル投資法人のケース)を、実際の時系列でみると、次のような流れで行なわれました。
2009年9月25日 | アドバンス・レジデンス投資法人および日本レジデンシャル投資法人との間で合併契約を締結。 |
2009年11月30日 | 両投資法人の投資主総会が開催され、投資主の承認を得る。 |
2010年2月23日 | アドバンス・レジデンス投資法人(銘柄コード:8978)および日本レジデンシャル投資法人(証券コード:8962)の投資口の東証REIT市場における最終取引日。 |
2010年2月24日 | アドバンス・レジデンス投資法人(銘柄コード:8978)および日本レジデンシャル投資法人(8962)の投資口の東証REIT市場において上場廃止。 |
2010年3月1日 | 新設合併方式による合併の効力が発生し、新生「アドバンス・レジデンス投資法人」が誕生。 |
2010年3月1日 | アドバンス・レジデンス投資法人、投信法第188条に基づく本投資法人の登録の申請。 |
2010年3月1日 | アドバンス・レジデンス投資法人、内閣総理大臣による投信法第187条に基づく本投資法人の登録の実施。 |
2010年3月2日 | アドバンス・レジデンス投資法人、東証REIT市場に改めて新規上場(銘柄コード:3269) |
関連資料・レポート(外部サイト)
- J-REITの合併効果検証とガバナンスの課題(ニッセイ基礎研究所)
- J-REITの合併の影響と今後の投資環境(アイビー総研)
- J-REITの合併による市場の回復に期待(不動産流通研究所)
- J-REIT市場の概況・基礎データ(金融庁)