不動産信託受益権とは
不動産投資信託(リート)の投資対象の一つに不動産信託受益権があります。不動産信託受益権とは、信託した不動産から発生する収益を受け取ることのできる権利のことです。
不動産信託受益権への投資例
例えば、2015年7月には、6つの投資法人が不動産信託受益権の取得や譲渡を発表しています。
- 7/3 積水ハウス・SI レジデンシャル投資法人が神奈川県横浜市の共同住宅「エスティメゾン港北綱島」の不動産信託受益権(8 億円)の取得決定を発表。
- 7/6 ケネディクス・オフィス投資法人が愛知県名古屋市のオフィスビル「名古屋日興證券ビル」の不動産信託受益権の譲渡決定を発表。
- 7/6 アクティビア・プロパティーズ投資法人が大阪府大阪狭山市の店舗「icot 金剛」の不動産信託受益権(8 億円)の譲渡決定を発表。 また、東京都渋谷区の事務所「フロンティア恵比寿」の不動産信託受益権(70.7 億円)の取得決定を発表。
- 7/9 MCUBS MidCity 投資法人が東京都渋谷区のオフィスビル「G スクエア渋谷道玄坂」等の不動産信託受益権4件(計5億円)及び「名古屋 ルーセントタワー」の匿名組合出資持分の40.0%(49.2億円)の取得決定を発表。
- 7/13 ユナイテッド・アーバン投資法人が福岡県福岡市の商業ビル「UUR 天神西通りビル」の不動産信託受益権の取得決定を発表。
- 7/13 GLP 投資法人が千葉県野田市の物流施設「GLP 野田吉春」の不動産信託受益権(7億円~46.5億円の予定)の取得決定を発表。
- 7/30 星野リゾート・リート投資法人が鹿児島県鹿児島市のホテル「チサンイン 鹿児島谷山」の不動産信託受益権の取得決定を発表。
不動産信託受益権の仕組み
不動産信託受益権の仕組みは次のようになります。
まず、不動産の所有者が信託銀行との間で信託契約を結び、信託銀行に不動産を信託します。
これと引き換えに、所有者は信託銀行から信託受益権(信託した不動産から発生する賃貸収入などの収益を受け取る権利=不動産信託受益権)を取得します。
この信託受益権は売買することが可能です。
不動産投資法人は、この不動産信託受益権を取得することで、信託銀行を経由して不動産から発生する賃貸料などの収益を得ることになります。
不動産投資法人にとっては、不動産信託受益権の取得は、実物不動産とは異なり、不動産取得税がかからない、登録免許税が低いなどのメリットがあります。
信託とは
なお、信託とは、委託者が信託契約や遺言などの信託行為によってその受託者に対して、金銭や土地などの財産を移転し、受託者は委託者が定めた信託目的に従って受益者のためにその財産の管理や処分などを行な制度のことです。信託法を根拠法としています。信託法第1条において信託は次のように定義されています。
「信託」とは、次条各号に掲げる方法(信託契約、遺言、書面又は電磁的記録によってする意思表示)のいずれかにより特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすること。