安全性の高い債券とは
「安全性」の高い債券というものを一言で表現するならば、価格変動リスクが小さく、期日までの元本と利息がきちんと支払われる可能性の高い債券であると言えるでしょう。
「価格変動リスク」と「元本と利息の支払可能性の判断のポイント
そして、「価格変動リスク」と「元本と利息の支払可能性」を判断する大きなポイントが「債券の期間の長さ」と「発行主体(債券を発行する国や企業など)の信用力」というポイントです。
債券の期間の長さ
同じ相手にお金を貸すのであっても、「明日まで貸す」のと「10年後まで貸す」のであれば、事情の変化によって、返済できなくなる可能性が高いのは、当然後者です。これは、債券の場合でも、当然当てはまることで、例えば、1ヵ月物の債券と10年物の債券とでは、同じ国や企業が発行していた債券だとしても、元利が返済できなくなる可能性は、後者のほうが大きいと考えられます。
また、債券を時価で評価する場合、満期までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を受けやすく、価格変動が大きくなります。
したがって、安全性を判断するポイントとして、第一に、保有している債券の残存期間を短くするよう厳格に制限しているかどうかが挙げられます。
発行主体(債券を発行する国や企業など)の信用力
そして、「信用力」。企業の債務の返済能力を一概に判断することは困難ですが、債務が保有している現金や財産に比べて過大であったり、また、収入が支出を下回って赤字を続けている状態であったりする発行主体の「信用力」には問題があると考えられます。
「信用力」の総合的な目安としては、第三者の格付機関から公表されている「格付け」(信用格付・債務格付)を利用することもありますが、このような格付による制限をはじめ、発行主体の信用力の評価・判断について、やはり、厳格な基準を定めて、運用されているものの安全性がより高いと考えられます。
該当するのはどのようなファンドか
したがって、信用力が高く、残存期間の短い債券に投資を行なうファンドは、安全性が高いと考えられ、具体的には、MMFやMRFなどのファンドは、そのような特徴を持っていると考えられます。
ただし、「安全性の高さ」は、「元本の保証」を意味するものではありませんし、同じ方針で運用されていたとしても、ファンドマネージャーの具体的な投資判断などによっては、成果に違いが起こることがあることには、十分留意する必要があります。
また、2016年2月 に日本銀行によるマイナス金利政策が導入されたことにより、MMFやMRFであっても、元本の安全性は揺らいでいます。実際に、MMFの運用で、逆ざやが生じてしまうことから、大和証券投資信託委託、野村アセットマネジメント、農林中金全共連アセットマネジメント、アセットマネジメントOne(旧新光投信)では、2016年にMMFを繰上償還し、2017年10月末現在、MMFを運用している運用会社はありません。