カントリーリスクとは?


カントリーリスクとは

カントリーリスクとは、海外に投資を行なう場合に、その投資先の国の政治・経済・社会状況の不安定化や混乱などによって、投資を回収することが困難になる、また、その影響によって、投資した商品の価格が変動することによって損失を被るリスクをさします。アジア、中南米、アフリカ、東欧・ロシアといったエマージング・カントリー(新興諸国)において高いリスクです。

 

どんなリスクがあるのか

具体的には、海外への送金ができなくなることによるリスクや、政府の政策変更によって、民間企業や私有財産についての国有化などが行なわれることによるリスク、金融システムや税制などの制度変更によって損失が発生するリスク、クーデターなどによる政変、通貨危機、為替レートの大幅な変動、内戦、銀行システムの混乱、財政破綻などがあげられます。

このような投資先の国の政治・経済・社会等の混乱を原因として発生するリスクは、株式を発行している個々の企業や債券を発行している個々の主体の経営・運営とは無関係に存在するリスクであり、このようなリスクをカントリーリスクといいます。

 

途上国で高いカントリーリスク

一般に、カントリーリスクは途上国において高い傾向にあります。したがって、中南米、アジア、アフリカ、中欧に投資するタイプの投資信託においては、カントリーリスクが高い傾向にあるということです。

過去においても、90年代のアジア通貨危機の際には、アジアの国々やアジア通貨危機の影響を受けた中南米の国々において、金融市場が混乱して、株式、債券、通貨などの取引が正常に行えなくなったり、市場そのものが閉鎖されてしまい、取引が全くできなくなるという事態が発生しました。そのために、当時、マレーシアやタイに投資していたファンドの中には、暫くの間、投資家によるファンドの売買ができなくなってしまったファンドもありました。新興諸国に投資する投資信託を購入する前には、その国の政治的・経済的・あるいは社会的環境がどういう状況にあるのかを、販売会社等に確認してみましょう。

 

カントリーリスクの評価の例

OECD(経済開発協力機構)では、公的輸出信用アレンジメントのためにカントリーリスクを評価・公表しています。OECDのカントリーリスク評価では、所得の高い先進国は評価されていませんが、途上国等について、リスクを「0」から「7」までの数字で表しています。数字が大きいほど、リスクが高いことを意味しています。例えば、2017年10月に公表されたカントリーリスク分類では、シンガポールは0、台湾は1、モロッコは3、シリア、スーダン、ソマリアは7と評価されています。全評価はOECDのHPで閲覧できます。

また、金融業界のプロ向けの金融雑誌EuroMoneyも186カ国を対象として、カントリーリスクを評価しています。評価はEuroMoney Country Risk (ECR)に公表されています(一部有料)。ECRでは、経済評価、政治評価、構造評価、資本アクセス、信用評価、債務指標で各国を評価しています。ECRの評価のユニークな点は、これらの評価状況によりリスク・スコアが日々変化する点にあります。