組み入れている債券が格下げされたら、ファンドにはどんな影響があるの?


債券格下げの影響

債券の「格付け」とよばれる評価は、第三者の格付機関が独自の基準に基づいて、企業の信用力や債務返済能力などを調査して、それを公表しているものです。

したがって、あくまでも、その機関独自の「評価」に過ぎないので、評価が下がったということが、そのまま「債券の値下がり」を意味するものではありません。

但し、実際問題としては、いくつかの代表的な格付機関による格付は、投資信託運用会社や保険会社、年金基金など特に多額の資金を運用している機関においては、「運用にあたってのリスク評価の目安」として、多くの場面で利用されています。

たとえば、投資信託目論見書においても、「A格相当以上の債券に投資します」「投資適格の債券を90%以上組み入れます」といった投資方針が示されていることがありますが、このような基準がある場合には、「格下げ」された債券は、「よりリスクの高い債券」であるとみなされ、その投資方針に従って、「債券を売却する」、また、「新たに組み入れることを取りやめる」といった決定がなされることが考えられます。

そして、そのような事態が広く起こった場合には、「格下げ」された債券がその格付の公表をきっかけとして、値下がりし、ファンドの基準価額の値下がりに影響することは、あり得ることです。

「リスクの高いものには、それに見合う高いリターンが期待できないと投資を行なわない」というのがあらゆる投資にあてはまる大原則ですが、「債券の格下げ」は、このうちの「リスク」についての人々の評価を変えて、より慎重な行動に駆り立てる可能性のあるものであると理解することができるでしょう。

 

代表的な信用格付機関

日本では、金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成21年法律第58号)の施行(2010年4月1日)により、信用格付業者制度が創設されました。これを受け、信用格付を行う機関は金融庁への登録が受けられるようになりました。登録を受けた格付機関は信用格付業を公正かつ的確に遂行するための必要な体制が整備されている信用格付業者として国のお墨付きが得られたことになります。

 

2017年4月1日現在、次の7社が信用格付業者として登録されています。