信用リスクとは
信用リスクとは、債券を発行したり、借入れを行なったりして資金を調達している企業や国などの主体が、財務状況の悪化などの理由によって、債券を償還したり、債務を返済したりできなくなるいわゆる「倒産」、「債務不履行(デフォルト)」と言われるような状況に陥ってしまうことで損失の発生するリスクやそのような事態への不安が増大し、債券価格が下落することによって損失の発生するリスクを指します。クレジットリスクとも呼ばれます
信用とは
一般的には、「信用」という言葉は、広い意味での「信頼感」や「評判」を指すときに使われますが、金融の世界においては、より限定的に、「今現在において、資金などを提供する代わりに、将来において、決められた通りの債務の返済することなどを行なう約束をすること」を指します。
これを「給付と反対給付の間に時間的差のある取引」というのですが、たとえば、「クレジットカード」は、今、商品を受け取り、お店に対しては、信販会社が代金を利用者の代わりに支払って、後日、口座からの引落によって利用者は信販会社に代金を支払う仕組みです。この時、利用者と信販会社の間でみると、「商品の受取り」と「代金の支払い」に時間的な差がありますが、このような取引が「信用」なのです。
クレジットカードの発行には、「審査」がありますが、これは、「取引をした時に、その人には、将来、約束どおりの支払をする能力があるかどうか」すなわち、その人の「信用リスク」を審査しているのです。つまり、信用(クレジット)リスクとは、債券の発行主体や取引の相手方が約束どおりの支払いをすることができなくなるリスクなのです。
格付機関
この信用リスクを格付けするのが格付機関です。格付機関にはスタンダード・アンド・プアーズや格付投資情報センターなどがあります。通常、格付けの低い債券の利回りの方が、格付けの高い債券の利回りよりも高くなります。格付が低い債券は信用リスクが大きい債券ですから、投資家にとってはそれだけリスクが高く、その分高い利回りが要求されるためです。
債券に投資する投資信託は、通常どの程度の格付の債券に投資するかを決めています。例えば、格付けがAA(ダブルA)以上の債券に投資する方針、あるいは、組入れた債券の平均格付けがA以上となる、という具合です。
債券に投資する投資信託のリスク
投資信託の中には、高い利回りを追求するために、あえて格付けの低い(信用リスクの高い)債券を中心に投資するタイプのものもあります。このようなファンドは、格付けの高い債券に投資するものよりもリスクが大きいわけですが、より高い利回り益が期待できることになります。高い利回りの債券を英語で「high-yield bond」と呼ぶことから、このようなファンドをハイ・イールド・ボンド・ファンドと呼び、ファンドの名前に「ハイ・イールド・ボンド」という言葉が入っているケースが多く見られます。債券に投資するタイプのファンドの購入の際には、どのような種類(格付け)の債券に投資するファンドかを確認することが大切です。