純資産総額が増える要因
ファンドの純資産総額を押し上げる要因は二つあります。
1つはファンドの運用パフォーマンスが伸びたことによるものです。例えば、株式ファンドなどにおいて、組み入れている株式の価格が上昇したことを反映して、ファンドの純資産総額が増加するケースです。
もう1つの要因は、ファンドに新たな資金が入ってきたことによるものです。追加型の投資信託においては、新たに購入された金額の方が解約された金額を上回れば、たとえパフォーマンスが全く変わらなかったとしてもファンドの純資産総額は増加します。
ファンドの純資産総額が増えるのは、上記のどちらかの要因による場合もありますし、両方の理由による場合もあります。
純資産総額増加の要因を見極める
購入を考えているファンドの純資産総額が増えている場合、それがファンドのパフォーマンスが好調なためか、新たな資金が入ってきているためなのか、あるいは両方の理由によるかを確認してみましょう。純資産総額は増えているものの、実はファンドのパフォーマンスは悪化(下落)しているということもありますし、一方で、パフォーマンスの好調を反映して純資産総額が増えているものの、実は解約が増えていているということもあります。
純資産総額の傾向
ちなみに、株式投資信託で見ると、例えば、2016年10月から2017年10月までの株式投資信託の純資産総額の推移は次の表の通りです。
これを見ると、純資産総額は、2016年10月から2017年10月まで、毎月増加しています。しかし、資金増減を見ると、2016年10月、11月、12月、そして2017年5月、10月の5カ月については、資金は減少しています。つまり、これらの月には、投資家が購入した額より解約した額(解約額と償還額を合計した金額)が大きかったわけです。しかし、この5カ月においても、純資産総額は増加しています。これは、運用による資産の増加が、資金減少分を上回ったためです。
一方、運用がマイナスになった月(2017年1月、3月、7月、8月)でも、純資産総額は増加しています。これは、資金増加が運用のマイナスを上回ったためです。
これは、株式投資信託全体で見た場合ですが、各ファンドについても、運用会社のレポートや評価会社のレポート・HPなどで調べることができますので、購入しようとしているファンドについて確認して見ましょう。
年月 |
資金増減額 |
運用等増減額 |
資産増減額 |
純資産総額 |
2016.10 |
▲ 1,225 |
11,806 | 10,581 | 781,280 |
11 |
▲ 1,171 |
27,926 | 26,755 | 808,035 |
12 |
▲ 4,649 |
26,840 | 22,191 | 830,227 |
2017.1 | 9,839 |
▲ 4,368 |
5,472 | 835,698 |
2 | 9,824 | 4,032 | 13,855 | 849,553 |
3 | 17,046 |
▲ 7,216 |
9,829 | 859,383 |
4 | 1,286 | 922 | 2,208 | 861,591 |
5 |
▲ 1,657 |
7,178 | 5,521 | 867,111 |
6 | 2,267 | 11,096 | 13,362 | 880,474 |
7 | 8,177 |
▲ 2,632 |
5,545 | 886,019 |
8 | 14,823 |
▲ 5,474 |
9,349 | 895,367 |
9 | 5,881 | 19,844 | 25,726 | 921,093 |
10 |
▲ 5,380 |
22,728 | 17,349 | 938,442 |
(単位:億円、出所:投資信託協会)