ハイイールド債券とは、信用力が低く、高い利回りの債券のことです。利回りのことを英語でイールド(yield)と呼ぶことから、高い利回りの債券のことをハイイールド債券と呼びます。高利回り債券とも呼ばれます。
債券の信用力とは、決められた利払いを継続し、償還時に元本を返済できる能力があるかどうかを意味します。ハイイールド債券は、この返済能力が低い債券のことです。信用力は、格付けという形で知ることができます。格付けは、債券の信用調査・分析を行う専門の格付機関が行ない、公表しています。代表的な格付機関であるスタンダード・アンド・プアーズ社の格付けにおいてBB以下、ムーディーズ社の格付でBa以下の格付けを投機的格付けと呼び、ハイイールド債券はこの投機的格付けが付与されている債券を指します。
信用力と格付の関係
債券の信用力と格付けの関係を図にすると次のようになります。信用力が低いほど、格付は低くなります。
格付と利回りの関係
格付が低いほど、利回りは高くなる傾向があります。信用力が低く、格付が低い債券は、それだけ高い利回りを提供しないと購入者にとって魅力がないためです。投資家は信用リスクをとる分、高い利回りを要求します。
利回りとリスクの関係
利回りが高い債券は、債務履行能力が低く、信用力が低いため、信用リスクが高い債券ということになります。
つまり、ハイイールド債券は、投資家にとって高い利回りを獲得できる可能性はあるものの、リスクの高い投資対象であるということです。
債券の利回りについて
債券投資では、投資家の収益は①債券の利子(クーポン収入)と②債券の購入価格と償還額面(または売却価格)との差額(売却益・売却損)で成り立っています。
投資家は債券を保有している間は、利子収入を得て、債券の満期が到来する前に売却した場合には、売却益または売却損、満期まで保有していた場合には償還益(損)を得ることになります。
この収益について、1年間に受け取った利子と債券の購入価格と額面金額との差額(利益または損失)を1年当たりの金額に換算し、購入価格で割ったものが債券投資の利回りです。
例えば、利率が2%の5年満期の額面金額100万円の債券を96万円で購入し、その債券を5年間保有し、5年後に満期を迎えた場合を考えてみましょう。ここでは税金は考慮していません。
投資家は5年間に100万円の2%=20,000円の利子を5回=100,000円受け取ります。また、満期なり額面金額の100万円を受け取ります。したがって、5年間の収益は100,000円プラス100万円−96万円(購入金額)=4万円の合計140,000円です。
これを保有期間である5年で割ると1年あたりの収益は28,000円となります。これを購入価格の96万円で割ると2.9%となります。この2.9%が投資家の利回り(年)です。
したがって、投資家の利回りが高くなるためには、利子収入が高い、または、債券の購入価格が低い、または、その両者ということになります。
しかし、利子が高い債券というのは、発行する会社や国などの信用度が低いため、それだけ高い利子を提供しなければ投資家が集まらない、あるいは発行する会社の存在する国のインフレ率が高く全般的な金利水準が高いことを意味します。
一方、購入価格が低い、額面を大きく下回った価格で売られている債券は、信用面での問題など何かしらの理由により債券の人気がない、あるいは売り圧力に晒されていることを意味します。
つまり、利子が高い債券も、購入価格が低い債券も、高い利回りが期待できるもののリスクの高い投資対象であるということです。
ハイ・イールド債券は誰が発行するのか
ハイイールド債券を発行するのは主に、①新興諸国など信用度の低い国の政府や政府関係機関、②創業間もなく信用力の低い企業や財務状態のよくない企業です。後者をハイイールド社債と呼びます。
なぜハイイールド債券に投資するのか
ハイイールド債券は格付けが低く、元本と金利が返済されないリスクが高いにもかかわらず、どうして投資家はそれを購入するのでしょうか。
それは、高い利回りが魅力だからです。リスクを取ってでも、高い利回りが欲しいと考える投資家がいます。世界的に見て、日本を含め先進国の金利水準は低く、先進国の国債や先進国の優良企業の発行する債券では利回りを稼ぐことが困難です。そのため、少しでも高い利回りを求める投資家がハイイールド債券に向かいます。
ハイイールド債券に投資する投資信託
ハイイールド債券に投資する投資信託も多く存在しています。そのような投資信託を一般にハイイールド債券ファンドと呼びます。投資信託は、複数のハイイールド債券に分散投資し、ファンドマネージャーがリスク管理を行うため、個別のハイイールド債券を購入するよりもリスクは抑えられると考えられます。
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