国際機関債とは
国際機関債とは国際機関が発行、又は保証する債券のことで、多くの投資信託が投資対象に含めています。
ここでいう国際機関とは、国際間の取り決めに基づいて設立された機関のことで、アフリカやアジアなどの特定の地域の経済発展・開発支援のために設立され、その目的のためにさまざまな通貨建ての債券を発行して資金調達を行なっています。気候変動問題に取り組むプロジェクトのための資金を調達するために世界銀行が発行するグリーンボンドも国際機関債の一つです。
国際機関について
具体的には国際機関とは次のような機関を指します。
ADB(アジア開発銀行)・・・アジア太平洋地域における経済成長および経済協力を助長し、地域内の開発途上国の経済開発に貢献することを目的として設立。2012年12月末現在、67の国および地域が加盟。
AfDB(アフリカ開発銀行)・・・アフリカ地域の開発途上国の経済的・社会的開発を促進することを目的として設立2012年12月末現在で77か国が加盟。
EBRD(欧州復興開発銀行)・・・1989年のベルリンの壁崩壊等により加速化された、中東欧諸国における民主主義、市場経済への移行を支援する銀行の必要性が提唱されたことを受け設立。2012年12月末現在で64か国およびEU、欧州投資銀行(EIB)が加盟。
EIB(欧州投資銀行)・・・EUの目的に沿った投資に資金を供与するために1958年のローマ条約によって設立された銀行。バランスのとれたEUの発展に寄与することを最優先の目標に掲げる。
EUROFIMA(欧州鉄道金融公社)・・・欧州における鉄道輸送の発展を促進し、株主である鉄道会社および他の鉄道事業体を設備の更新および近代化において支援することを目的に1956年に設立。
IFC(国際金融公社)・・・途上国の民間セクター支援を行なう世界銀行グループの機関。
IBRD(国際復興開発銀行)・・・中所得国および信用力のある貧困国に融資、保証および分析・助言サービスなどの非融資業務を提供し、持続可能な開発を推進することで、これらの国の貧困を削減することを目指す機関。
NIB(北欧投資銀行)・・・デンマーク、エストニア、フィンランド、アイスランド、ラトビア、リトアニア、ノルウェーおよびスウェーデンが所有する国際金融機関。競争力の強化および環境の改善を目指すプロジェクトを対象に融資を行なう金融機関。
IDB(米州開発銀行)・・・中南米およびカリブ海諸国地域の開発途上国の経済的・社会的開発を促進することを目的として設立。
KFW(ドイツ復興金融公庫)・・・プラント輸出支援や海外投資支援、および海外経済協力等を行なっているドイツの政府系金融機関。
国際機関債のメリット
国際機関債のメリットとしては、信用力が高いことが挙げられます。多くの国際機関債が高い信用格付を取得しており、元本返済・利払いの確実性が高い投資対象であると考えられています。
また、国際機関債を投資対象としているファンドの多くが、リスク軽減のために、組み入れる債券の格付に制限を設けたり、ファンドの平均格付を一定以上(ファンドにより異なる)に維持する対策を講じています。また、保有する債券の平均残存期間を3年程度までなどと制限することにより、金利上昇時の債券価格の下落リスクを抑制しているファンドもあります。ただし、国際機関債の多くは外貨建てで発行されるものが多いため、為替ヘッジを行なわないファンドでは為替リスクが伴います。
各国際機関の発行している債券の格付については、各機関のHPに公表されています。また、日本で発行された債券については、金融庁のEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)で有価証券報告書などが掲載されています。