MLPとは
2013年頃からMLPを投資対象とするファンドが設定されるようになりました。このMLPとはどういう投資対象なのでしょう。
MLPとは、Master Limited Partnership(マスター・リミテッド・パートナーシップ)の略称で、米国における共同投資事業の形態の1つであるLP(リミテッド・パートナーシップ)のうち、総所得の90%以上を歳入法(米国の国税についての規定が定められている法律)で定められたエネルギー・天然資源関連・不動産などの特定の事業から得ており、かつ、その出資持分がニューヨーク証券取引所やNASDAQなどの金融商品取引所に上場されているもののことです。
米国のリミテッド・パートナーシップ
米国におけるリミテッド・パートナーシップは無限責任を負うゼネラル・パートナーと一般投資家として出資し、有限責任を負うリミテッド・パートナーによって構成される組織形態を指します。リミテッド・パートナーは経営には参加できません。また、MLPでは、株式に相当するものをユニットと呼び、MLPのユニットを保有しているということは、リミテッド・パートナーであることを意味します。ユニットの保有者はユニット・ホルダーと呼ばれます。
天然資源関連事業
米国歳入法で定められたエネルギー・天然資源関連事業には次が含まれます。
- 探査、開発、生産
- 採鉱
- 収集、処理
- 精製
- 圧搾
- 輸送(パイプライン、海上輸送、陸上輸送)
- 貯蔵、マーケティング、流通
なお、米国歳入法の上記規定については、IRSのSection7794(d)(1)等でご確認下さい。
米国の上場パートナーシップの業界団体であるNAPTP(National Association of Publicly Traded Partnership)によると、最初のMLPは1981年に設定されたアパッチ・オイル・カンパニー(Apache Oil Company)だということです。また、NAPTPの「Master Limited Partnerships 101: Understanding MLPs」によると、2013年9月30日現在、約130のMLPが米国の取引所に上場しており、時価総額は約4900億ドルに達しています。
MLPの魅力としては、相対的に高い配当収益が挙げられます。多くのMLPは高い成長が期待されるエネルギー関連事業を行なっており、また、MLPでは現在の事業の運営に必要のない全ての収益については配当としてユニット・ホルダーに分配しなければならないと定められているため、相対的に高い配当収益が期待されているわけです。この点は、日本の不動産投資信託(REIT)に似ています。
MLPを投資対象とする投資信託
2013年頃からMLPを投資対象とする投資信託が日本でも登場しています。
MLPに投資する投資信託の例:
- MLP関連証券ファンド(為替ヘッジなし)
- MLP関連証券ファンド(為替ヘッジあり)
- 米国MLPファンド(毎月分配型)Aコース(円ヘッジあり)
- 米国MLPファンド(毎月分配型)Bコース(円ヘッジなし)
- 米国・シェールMLP・高配当株ファンド
- 米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)為替ヘッジなし
- 米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)為替ヘッジあり
MLPに投資する投資信託のリスク
現在、運用・販売されているMLPに投資する投資信託は、米国のMLPに特化したタイプの投資信託です。ファンドの資産は複数のMLPに分散投資されていますが、MLPの多くはエネルギーや天然資源に関連する事業を主な投資対象とするため、エネルギー市況の変動やエネルギー産業を取り巻く法律を含んだ環境の変化により組み入れているMLPの価格が同時に大きな影響を受ける可能性があります。他の特定の業種やテーマに的を絞った投資信託と同様に、集中投資によるリスクがあることを念頭に置くことが大切です。
また、MLPは株式と同様に金融商品取引所で売買されているため、市場における需給や金利見通しなど様々な要因でも価格が変動します。これらの要因によりMLPの価格が下落した場合には、ファンドの基準価額が影響を受けることになります。
米国のMLPの動向を調べるためには次のようなMLP指数やデータをチェックするとよいでしょう。
【MLP指数】
- ALerian MLP Index
- Miller/Howard MLP Fundamental Index
- S&P MLP Index
【MLPのデータ】