CSRファンドとは
CSRとは英語のCorporate Social Responsibilityの頭文字をとった名称で、企業の社会的責任を意味しています。
このため、企業の社会的責任への取り組みに着目して企業を評価し、ファンドに組み入れる銘柄を選定するファンドを一般にCSRファンドと呼びます。
投資信託においては、CSRファンドは、SRI(Socially Responsible Investment)ファンドと同じ意味で使われています。企業が社会的責任をきちんと果たすことが、結果的には株主価値への増大に繋がるという考え方を基本とした投資信託です。
企業の社会的責任
企業の社会的責任とはどのような責任でしょうか。
企業には株主への配当支払いや情報公開、不正行為の回避、法令順守といった株主価値を維持・向上させること、公害や地球温暖化防止への取り組みなどを含む環境問題への対応、地域社会への貢献、人権問題や差別問題への取り組み、女性や障害者の雇用、製品品質の管理など様々な社会的責任が求められています。CSRファンドは、これらの問題や課題に対する企業の取り組みや実行状況を評価して、その評価の高い企業に投資を行うというものです。
社会的責任の中で、どのような点に重点を置いて企業を評価するか、あるいはどのように社会的責任を果たしているかどうかを評価するかはファンドにより異なります。例えば、一般にエコファンドと呼ばれるファンドは、企業の社会責任の中でも環境に重点を置いて組入れ銘柄を評価・選定します。
社会的責任の評価
投資対象企業の社会的責任評価については、社内で独自の評価基準を設けている運用会社もありますが、社会的責任の評価を専門とする外部評価機関の評価を活用するファンドが多いようです。これらの評価会社には、米国のInvestor Responsibility Research Center, Inc.(IRRC社)、スイスのRobecoSAM、株式会社インデグレックス、日本総合研究所、特定非営利活動法人パブリック リソース センターなど、国内外の企業があります。
ポートフォリオの構築
CSRファンドのポートフォリオ構築のプロセスにおいては、一般的な定量・定性分析と社会的責任の両者を組み合わせて銘柄を選定するのが一般的ですが、最初に定量・定性スクリーニングを実施してから、社会的責任投資のスクリーニングを行うか、その逆かはファンドにより異なります。
CSRファンドのベンチマーク
ベンチマークとしては、投資対象が世界規模の場合には、社会的責任の遂行度が高いと考えられる世界主要先進国の上場株式会社約300社により構成される株価指数であるDow Jones Sustainability World Index(DJSI World)などが採用されており、国内の企業を投資対象とする場合には一般的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)が採用されているケースが多く見られます。