物価連動国債ファンドとは
物価連動国債を主な投資対象とするファンドを、一般に、物価連動国債ファンドと呼びます。
国債に関する法律の改正を受け、2004年3月に10年物価連動国債が発行されたのを受け、日本初の公募型の物価連動国債ファンドとなる「DKA物価連動国債ファンド(愛称:未来予想)」(現、MHAM物価連動国債ファンド)が、第一勧業アセットマネジメント株式会社(現、アセットマネジメントOne株式会社)により同年6月1日に設定されました。その後、2005年2月には、同じく当時の第一勧業アセットマネジメント株式会社により「物価連動国債ファンド(3ヵ月決算型)」 が設定されました。
物価連動国債とは
投資対象の物価連動国債とは、元金額や利払い額が物価の動きに連動して増減する国債のことです。物価連動国債の発行後に物価が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加し、反対に、物価が下落すれば、その下落率に応じて元金額が減少します。
投資家にとっては将来のインフレリスクをヘッジすることが可能となるというメリットはありますが、購入対象者は政府及び一部金融機関に限定されているため、個人投資家は購入することができませんでした。そこで、物価連動国債のメリットを個人投資家でも享受できる手段として、物価連動国債ファンドが登場したわけです。なお、平成27年1月より相対取引による個人向け販売が解禁されています。
海外における物価連動国債
日本では2004年に初めて発行された物価連動国債ですが、海外ではそれ以前からinflation linked bond(インフレリンク債)として発行されていました。カナダではReal Return Bond (RRB)、英国ではInflation-linked Gilt(ILG)、米国ではinflation-protected security(IPS)と呼ばれています。いずれも、インフレに連動して元本が増加し、ほとんど場合、インフレを測る指標として消費者物価指数が採用されています。
T&Dアセットマネジメント株式会社では、このような世界の物価連動国債に分散投資するファンド「世界物価連動国債ファンド(愛称:物価の優等生)」を2005年2月28日に設定しました。このファンドは、主として世界の物価連動国債に投資を行う外国籍投資信託「グローバルインフレ連動国債ファンド」と、主として国内の公社債に投資を行う「T&Dマネープールマザーファンド」を主要投資対象とするファンド・オブ・ファンズです。
物価連動国債のデメリット
インフレリスクをヘッジできる投資商品として注目される物価連動国債ですが、一方で、物価が下落した場合には、その下落率に応じて元金額や利払い額が減少するというデメリットもあります。平成25年度以降に発行されている日本の物価連動国債には、償還時の連動係数が1を下回る場合、額面金額にて償還される元本保証(フロア)が設定されています。したがって、償還まで保有した場合には、償還時の物価水準が発行時の物価水準よりも低下した場合でも、額面金額で償還されます。しかし、償還までの間には、元本割れが発生する可能性もあり、物価連動国債を主な投資対象とする物価連動国債ファンドについても、物価が下落すると、ファンドの基準価額が下落することになりますので、注意が必要です。
物価連動国債ファンドの例
- eMAXIS 国内物価連動国債インデックス(三菱UFJ国際投信)
- 日本物価連動国債ファンド(三菱UFJ国際投信)
- 日本物価連動国債ファンド(大和証券投資信託委託)
- DCダイワ物価連動国債ファンド(大和証券投資信託委託)
- MHAM物価連動国債ファンド(アセットマネジメントOne)
- 海外物価連動国債ファンド(為替ヘッジあり)(アセットマネジメントOne)
- 海外物価連動国債ファンド(為替ヘッジなし)(アセットマネジメントOne)
- 東京海上・物価連動国債ファンド(東京海上アセットマネジメント)
- 東京海上セレクション・物価連動国債(東京海上アセットマネジメント)
- 日本物価連動国債ファンド(ラップ向け)(東京海上アセットマネジメント)