公益・インフラ債券ファンドとは
公益・インフラ債券ファンドとは、公益およびインフラ関連の事業を行う企業や国・国際機関などが発行する債券に投資を行うファンドのことです。
公益・インフラ関連の事業には電力、水道、鉄道、道路、港湾、通信、エネルギー関連などの社会基盤の整備やサービスの提供を行う事業が含まれます。また、社会基盤整備のための資金調達や融資を行う金融事業が含まれることもあります。インフラとは社会基盤のことを意味する英語「infrastructure(インフラストラクチャー)」のことです。
日本の公益関連債券
日本国内では、公益関連債券としては、電力会社が発行する電力債があります。例えば、関西電力では平成27年度に次の表のように債券を4回発行しています。
会社名 | 銘柄 | 発行年月日 | 発行額 (百万円) |
利率(%) |
償還期限 |
関西電力 | 関西電力 第497回社債 |
平成27年6月19日 | 30,000 | 1.002 | 平成37年6月20日 |
関西電力 | 関西電力 第498回社債 |
平成27年9月18日 | 20,000 | 0.416 | 平成32年9月18日 |
関西電力 | 関西電力 第499回社債 |
平成28年1月26日 | 20,000 | 0.680 | 平成38年1月23日 |
関西電力 | 関西電力 第500回社債 |
平成28年3月8日 | 30,000 | 0.455 | 平成38年3月19日 |
公益・インフラ関連債券の特色
公益・インフラ関連の事業は、公共性が高く、生活に不可欠なサービスや商品を提供するものであるため、景気が悪い時でも、需要に大きな変動がなく、そのような事業を営む企業の業績は相対的に安定していると期待されています。また、財務状態が相対的に健全であるとも言われています。このような景気の変動の影響を受けにくい業種のことを、金融市場ではデフェンシブ・セクター、銘柄のことをディフェンシブ銘柄と呼び、景気後退期に選好する傾向にあります。
公益・インフラ債券も、一般の債券と同様に、新興諸国の債券の方が先進国の債券よりも利回りが高い傾向にあり、その分リスクは高くなります。また、公益・インフラ債券の方が同じ国の国債に比べて利回りが高くなる傾向にあり、一方、ハイイールド社債よりは低くなる傾向にあります。
公益・インフラ債券ファンドの例
実際に運用されている公益・インフラ債券ファンドを見ると、組入債券の直接利回りと組入債券の平均格付は次のようになっています。(2016年2月末現在)(出所:各運用会社によるファンド月報)
ファンド名 |
直接利回り |
平均格付 |
組入国・地域 |
三菱UFJ/AMP グローバル・インフラ債券ファンド(毎月分配型)(為替ヘッジあり・なし) | 5.05% | BBB+ | 世界(先進国中心で、米国が72.15%) |
UBS世界公共インフラ債券投信(通貨選択型)(毎月分配型) | 3.90% | A- | 世界(先進国中心で、米国が46.9%) |
イーストスプリング・インド公益インフラ債券ファンド(毎月分配型・年2回分配型) | 8.3% | 公表なし、ただし組入債券の72.1%がBBB格 | インド |
公益・インフラ債券の動向
世界の公益・インフラ債券の動向は、ダウ・ジョーンズ・ブルックフィールド・グローバル・インフラストラクチャー社債総合指数(Dow Jones Brookfield Global Infrastructure Broad Market Corporate Bond Index)などの債券指数で知ることができます。ダウ・ジョーンズ・ブルックフィールド・グローバル・インフラストラクチャー社債総合指数は世界各国のインフラ関連企業が発行した社債のパフォーマンスを測定することを目指す指数で、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC社が算出・公表しています。