金銭信託受益権投信
金銭信託受益権投信は、金銭信託の信託受益権を主な投資対象とする投資信託のことです。2000年11月の投信法の改正により、投資信託の運用対象が有価証券以外にも拡大されたことで設定が可能となりました。金銭信託受益権投信の公募型の第一号は2003年6月26日に富士投信投資顧問株式会社(現、アセットマネジメントOne株式会社)によって設定された単位型ファンドである「みずほインカムトラストファンド03-06」です。
金銭信託受益権投信は、投信法上では、証券投資信託以外の投資信託として、一般の株式投資信託や公社債投資信託とは異なる扱いがされています。また、所得税法上では公募公社債等運用投資信託として扱われています。
金銭信託
金銭信託受益権投信の投資対象である金銭信託とは、信託銀行が運用し、信託銀行が販売する金融商品です。金銭信託は運用方法や投資家資金の扱い方で、①指定金銭信託、②特定金銭信託、③無指定金銭信託の3つに分かれます。このうち、一般の投資家の投資対象になるのは多くの場合は指定金銭信託で、そのなかでも合同運用指定金銭信託が代表的なものです。
合同運用指定金銭信託は、複数の委託者の資金を一つにまとめて運用を行います。金銭信託受益権投信も、この合同運用指摘金銭信託の信託受益権を主な投資対象としています。ちなみに、信託銀行の代表的商品に「ヒット」や「スーパーヒット」がありますが、これらも合同運用指定金銭信託です。ヒットやスーパーヒットは、元本が保証されておらず、預金保険の対象でもありませんが、「合同運用指定金銭信託一般口」は、信託銀行が元本を保証し、また預金保険の対象にもなります。リターンは(マイナスにならない範囲で)実績に基づきますが、「予定配当率」という形で、予想リターンを事前に発表しています。
したがって、この合同運用指定金銭信託を主要投資対象とする金銭信託受益権投信でも、ファンドの募集期間中に「参考目標分配率」が明示されますし、ファンドの設定時には改めて目標分配率が設定されます。ただし、これらの目標分配率は将来の運用成果などを保証するものではありません。
第一号ファンド
なお、公募型金銭信託受益権投信の第一号として設定されたみずほインカムトラストファンド03-06は金銭信託への投資を通じて実質的には、主として個人の自動車購入資金の貸付を(自動車ローン)行ない、そこからの収益を投資家に還元することを目的とするファンドでした。2003年の6月から毎月、信託期間1年の単位型投信としてシリーズで設定されました。その後、みずほインカムトラストファンドは追加型投資信託として設定され、2011年5月末現在、みずほインカムトラストファンド1月号から12月号までの12本が運用されています。