マルチ・キャップ・ファンドとは
投資信託には、大型株(ラージ・キャップ)だけに投資するファンド、中株型、あるいは小型株(スモール・キャップ)を主な投資対象とするファンドのように、特定の時価総額の規模を持つ株式に的を絞って投資する株式ファンドがありますが、マルチ・キャップ・ファンドとは、そのような時価総額の大きさによる制限を設けず、時価総額の規模がどのくらいであれ、ファンドマネージャーがよいと考える銘柄に投資するファンドのことを指します。
ちなみにマルチ・キャップとは、英語のmulti-capitalizationのことで、直訳すると様々な時価総額のファンドということになります。
投資信託協会の分類では、マルチ・キャップ・ファンドという分類は存在しませんが、投資信託の評価会社では、マルチ・キャップという分類を設けている会社もあります。例えば、リッパー社では、米国のファンドの分類において、マルチ・キャップ・ファンドを株式資産の75%以上を特定の時価総額の資産に集中していないファンドと定義しています。
マルチ・キャップ・ファンドの種類
マルチ・キャップ・ファンドは、投資スタイルにより、更にマルチ・キャップ・グロース、マルチ・キャップ・バリューに分類されることがあります。前者は、マルチ・キャップ・ファンドの中でも成長株を中心に投資するファンドで、後者はマルチ・キャップ・ファンドの中でも割安株を中心に投資するファンドです。
マルチ・キャップ・ファンドの利点
マルチ・キャップ・ファンドの利点としては、市場動向の変化に柔軟に対応が可能であることが挙げられています。株式市場においては、小型株が注目される局面、あるいは大型株が中型株や小型株をアウトパフォームする局面など、異なる時価総額の株式が全体として他をアウトパフォーム、あるいはアンダーパフォームすることがあります。
特定の時価総額に限定して投資するファンドでは、そのような変化に応じて、投資対象を変更するといった対応はできませんが、マルチ・キャップ・ファンドでは、市場動向に応じて、投資先を変更することで、小型株が強気相場に入ったら、小型株に投資し、大型株が強気相場に入れば大型株に投資するなど柔軟に投資機会を捉える運用が可能となると言われています。つまり、ファンドマネージャーの判断で、時価総額や業種などによる制限を受けずに、機動的な投資を行なうファンドだと考えられているわけです。