テーマ型ファンドとは
テーマ型ファンドとは、世の中で話題になっているテーマに関連する銘柄に的を絞って投資するタイプの株式ファンドのことです。1990年代以降、社会資本整備、インターネット、IT、ゲノム、環境、エコ、社会的責任投資、バイオ、水、再生可能エネルギー、再生医療など、さまざまなテーマに注目が集まり、その都度それらに関連している銘柄に的を絞ったファンドが設定されてきました。
1990年代:社会資本整備
1990年に政府が策定した「公共投資基本計画」において社会資本整備の充実が掲げられたため、社会資本整備関連銘柄といわれる銘柄に投資するファンドが設定されました。
1990年代後半:IT、インターネット
インターネットが世の中に登場し、急速な拡大を見せる中、インターネットの普及により恩恵を受けると見込まれた通信やIT関連の銘柄を組み込むファンドが設定されました。
1996年頃から:環境
地球温暖化問題への注目が高まるにつれ、環境やエコ、地球温暖化、社会的責任投資をテーマとしたファンドが多く設定されました。
2001年頃:BRICs
ゴールドマン・サックスが2001年11月に投資家向けに「Building Better Global Economic BRICs」というレポートを発表したのをきっかけに、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に投資するファンドの設定が相次ぎました。
2002年頃:ご当地ファンド
景気低迷が続く中、地域の企業を応援することで、地域社会の成長に貢献する、というコンセプトのファンドが相次ぎました。
2003年頃:ゲノム・バイオ
2003年4月にヒトゲノム解読作業を完了のニュースが世間を驚かし、解読された情報が医療やバイオに大きな恩恵をもたらすと期待され、ゲノム関連銘柄に投資するファンドが登場しました。
2010年頃:クラウド・SNS
クラウドコンピューティングやSNSの飛躍的拡大に伴い、これらの技術に関連する企業に投資するファンドが登場しました。
2012年頃:シェールガス
シェール層からの天然ガスの抽出が可能になったことにより、世界のエネルギー事情が大きく変わると期待され、シェールガス開発に携わる企業などに投資するファンドが設定されました。
2018年頃:AI
金融業界だけでなく、製造業や生活の様々な場面においてAI(人工知能)が実際に利用されるようになり、AI関連銘柄に投資するファンドが設定されるようになりました。また、AIが運用を行う投資信託やロボットによる運用なども注目を集めるようになりました。
テーマ型ファンドのリスク
この他にも地方再生、オリンピック、バイオエタノール、インフラ、資源、再生医療など、株式市場においては、さまざまなテーマが登場してきました。世間で注目されるテーマは時間と共に変化します。あっという間に忘れ去られてしまうこともあります。注目度が低くなっても、投資している企業の業績が長期的に伸びていれば、株価も上昇すると考えられるので問題はありませんが、注目度が低くなるだけでなく、業績も当初市場や世間が期待したほど伸びず、その結果ファンドの運用成績も期待したようにはならなかったということも起こりえます。
また、テーマへの関心が薄れたり、あるいは忘れ去られると、そこに的を絞ったファンドへの新規資金の流入が減少し、純資産総額が小さくなり、結果的に運用継続が困難になってしまうということもあります。最悪の場合、信託期間を満了することなく繰上償還されるということもあります。
テーマ型ファンドは一時的には注目度が高まり、多くの投資家の関心を呼びますが、長期的にそのテーマが存続しうるのか、あるいは、本当に関連する企業の業績に長期的な恩恵をもたらすのかなど、購入する前にはきちんと検討することが大切です。
なお、テーマ型ファンドのことを海外ではtheme funds、theme-based fund、thematic fundsなどと呼びます。