ウォーレン・バフェット氏といえば、世界で最も著名な投資家です。バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOであり、一代で670億ドル(約7兆円)もの冨を築きました。バークシャー・ハサウェイは投資持株会社ですが、基本的にはバフェット氏が運用する投資ファンドと考えてよいと思います。ニューヨーク証券取引所に上場している同社の株価は2015年5月17日現在、1株218,505ドル(2,615万円)です。彼の発言や行動は、常にニュースで取り上げられ、彼の投資や投資哲学に関する書籍は数えきれないほど出版されています。世界中で最も成功している投資家であり、最も注目される投資家であることは間違いありません。
また、バフェット氏がバークシャー・ハサウェイの株主に向けたメッセージ(1977年から現在まで)は、同社のHPに掲載され、世界中の投資家が読んでいます。また、業績についてもHPに公開されています。
さて、そのバフェット氏の遺言なるものが、昨年から市場では話題になっています。遺言といっても、実際には、バフェット氏が2014年2月にバークシャー・ハサウェイの投資家に向けた年次レター( annual letter to Berkshire shareholders)で述べたものです。原文はhttp://www.berkshirehathaway.com/letters/2013ltr.pdfで読むことができます(P20)。
その中でバフェット氏は、次のように述べています。
「現金の10%を米国短期国債に、90%を低コストのS&P500インデックスファンド(お勧めはバンガードのファンド)に投資せよ。この方針に従えば、管財人の長期的な運用成績は多くの投資家-年金ファンドであれ、機関投資家であれ、個人であれ-の成績を上回ると確信しています。なぜなら、投資家は、コストの高いファンドマネージャーを雇っている分、収益が低くなるからです」と述べています。
原文は次の通りです。
My advice to the trustee could not be more simple: Put 10% of the cash in short-term government bonds and 90% in a very low-cost S&P 500 index fund. (I suggest Vanguard’s.) I believe the trust’s long-term results from this policy will be superior to those attained by most investors – whether pension funds, institutions or individuals – who employ high-fee managers.
また、クーリエ・ジャポンの2014年12月号の「素人が投資するなら、何から始めるべきですか」と題する記事において、この質問への答える形で、バフェット氏はこの遺言についても言及しており、更に、「プロでない投資家は、勝ち銘柄を選びだすことを目標にすべきではありません。むしろ、全体で良い結果をもたらすような、幅広い業種の株を保有すべきです。S&P500指数に連動した、手数料の低いインデックスファンドが最適でしょう」と述べています。
投資といっても何をすればよいかわからない、数多くのファンドが存在し、どう選べばよいのかわからない、そんな投資家だけでなく、全ての投資家にとって、とても参考になる話です。