売る額の合計が買う額の合計よりも多い場合、相場は下落し、逆の場合は上昇する
通常、モノを買うときにはなるべく安く買い、売るときには高く売りたいと思うのが人情です。そのうえで成立するのが需給関係です。
外国為替相場に関しても同じことがいえます。ある通貨を買うとき、その額で買いたい人の総量と売りたい人の総量が同じであれば、その価格は動きません。
売る額のほうが、買う額よりも多い場合には、その通貨の価格は低下し、逆に、買う額のほうが多い場合には、価格は上昇することになります。
売る額が買う額より多い場合は、レートが下がることによって新しい買い手が市場に集まります。逆に、買う額のほうが売る額よりも多い場合には、レートが上がることによって買い手の減少を招きます。こうして相場が成立していくのです。
これが需要供給曲線と呼ばれるものの基本的な考え方です。しかし、値上がりするから買いたくなるということもありますから、需要供給曲線の発想がすべてではありません。実際に市場で売買の出合いがないまま気配値だけが上がっていくことだってあるのです。
バブルのときに、相場がどんな動きをしたかを思い出すと、少なくとも理論的な需要供給曲線だけを想定することは無理があります。
いずれにせよ、このように需要と供給の関係が通貨価値の変動の原因となります。しかし、相場の変動要因が需要と供給というのは、あまりに当然すぎる話であり、情景描写にすぎず、何も説明してはいません。需給がなぜ起こるのかを考えることが大切なのです。
(林 康史)