JPモルガン・アセット・マネジメント、年金運用動向調査結果を発表


JPモルガン・アセット・マネジメントは、日本の年金を対象に、2009年度から2010年度にかけての運用状況の変化、および今後の方向性について聞き取り調査を行い、その調査結果を発表した。

JPモルガン・アセット・マネジメントは、調査結果について、次のように述べている。

当調査では、運用目標リターンが低下する中、資産配分においては、国内株式を中心にリスク性資産への配分が緩やかに減少する傾向が見られました。また、市場環境の変化への対応、より高度な分散投資の実現に向けて、新興国株式・債券、リアル・アセット(不動産、インフラ投資等)への投資が拡大する傾向が確認されました。このような動きは、2008年度、世界金融危機の直後に見られたリバランスの停止等緊急避難的措置が解除され、ポートフォリオの運営が正常化する中で現れてきており、今後の年金資産運用の中長期的な方向性を示唆しているものと考えられます。

調査結果の主なポイントは以下のとおり。

資産配分状況の変化について

  • 全体としてリスク性資産(国内債券、一般勘定、短期資産を除く全資産)への配分は緩やかな減少傾向が継続している。
  • その中で、国内株式の減少傾向は継続しているものの、新興国投資の活発化もあり外国株式には反転、増加の動きが見られる。
  • また、オルタナティブ投資は、投資対象拡大、分散投資のさらなる徹底から緩やかな配分増加傾向が継続、今後、さらに配分が増加する見込み。
  • 流動性への配慮の高まりから、短期資産への資金滞留は概ね継続している。
  • DC導入や給付支払い等の資金流出の影響で、資産増加率が利回りを下回る状況となっている模様。

運用商品の入れ替え状況について

  • 2009年度は、解約が非常に多かった前年度と異なり、全体では新規採用数が解約数を上回った。
  • ただし、資産クラス毎に傾向は異なり、伝統的資産クラスでは、外国株式、外国債券で新規採用数が解約を上回る一方、国内株式では解約数が新規採用数を上回った。
  • また、オルタナティブにおいては、絶対収益型で引き続き解約数が新規採用数を上回ったものの、プライベート・エクイティ、リアル・アセット(不動産、インフラ投資等)において新規採用数が解約数を上回り、投資対象の多様化が進展している様子が窺える。

同調査を統括した、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社投資戦略ソリューション室長の鈴木英典氏は、次のように述べている。

昨年の調査では、金融危機で運用環境が激変する中、緊急避難的と思われる措置が少なからず見受けられましたが、今回の調査では、リバランスの再開等、年金運用の正常化が確認されました。このような動きの中で、日本の年金が、効率的なリスク・リターン特性の実現を目指し、投資対象の分散、多様化を通じて、よりバランスの取れたポートフォリオの構築に取り組んでいる様子が見られます。今回の調査で確認された傾向は、より中長期的な視点に基づいて進められているものと推察され、今後比較的長期にわたって継続するものと考えられます。

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