主に日本の成長企業に投資する「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークス株式会社と、経済ニュースや決算情報をAIで解析し、企業の業績への影響を予測するSaaSサービス「xenoBrain」(ゼノブレイン)を開発する株式会社xenodata lab.(ゼノデータ・ラボ)は、投資家の市場心理を表す「センチメント指数」の共同研究を開始したと、2019年9月24日に発表した。同共同研究によって、産業ごとの特性を踏まえた高精度なセンチメント指数を開発・評価し、将来的に投資運用業界における幅広い活用を目指すr。
レオス・キャピタルワークスは、「資本市場を通じて社会に貢献します」という企業理念のもと2003年に創業し、主に日本の成長企業に投資する「ひふみ」シリーズを通して投資信託や企業年金などの資産運用を行なってきた。
ゼノデータ・ラボは、ニュースや決算情報に含まれる経済事象と企業の利益影響との関連をAIが分析し予測するSaaSサービス「xenoBrain」(ゼノブレイン)を開発・運営する会社。特許取得済みの高度な自然言語処理技術がゼノデータ・ラボの強みであり、文章中から意味を把握し構造化データに落とすことで、経済ニュースの因果関係を解析している。
共同研究の概要について、両者は次のように説明している。
昨今、金融市場において、財務や株価などの定量情報に加え、自然言語などの定性情報を活用する動きが広まっています。特に、経済などの予測を伴う分野では、市場環境の変化が速まる中、定量情報以外の情報を模索する動きが活発化しており、その一環として、経済や株式市場を予測する上での指標として有用だと考えられているのが、投資家心理を表す「センチメント指数」です。センチメント指数は、投資家の景況感を数値化したもので、ニュースなどの定性情報に左右されるため、ニュース情報の精緻な分析が重要となります。
本共同研究では、純資産額が8,000億円(2019年6月時点)を超える日本トップクラスの投資運用会社であるレオス・キャピタルワークスの投資判断における豊富なノウハウと、ゼノデータ・ラボの高度な自然言語処理技術を組み合わせ、独自のセンチメント指数化手法について研究し、業界専門紙を中心としたニュース情報を取り込んだセンチメント指数を開発・評価します。
■手法の独自性について
従来のセンチメント指数における算出は、自然言語の表層的な表現から情報を抽出し、センチメントとの関係性を分析して指数化していたが、投資家が着目するニュース記事の内容・表現に合わせた、高精度な情報抽出を行なう独自の手法を採用することで、投資家の感覚により近いセンチメントの数値化を目指す。着目点はセクター・産業により異なるため、情報抽出手法は各分野に特化したものを用いる。それらの基礎情報を基に、センチメントに適したアルゴリズムによって指数化する。
■今後について
この研究により、実現可能性を検証するPoC(概念実証)完了後は、レオス・キャピタルワークスの投資運用事業で当該指数の活用を目指す。また、開発した技術や指数ついては、xenoBrainへの応用を検討する。
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長 藤野 英人氏は次のように述べている。
レオス・キャピタルワークスでは自社で開発した定量分析に加え、ファンドマネージャー、アナリストの独自視点で投資対象候補の企業を選別し、企業訪問を通して丁寧な定性分析を行ない、ポートフォリオを構築しています。今回のゼノデータ・ラボとの取り組みで最新のAIテクノロジーを活用し多面的な評価視点を取り入れて行く事は、長期に安定した当社の運用パフォーマンスの維持向上を図ることに寄与すると考えており、共同研究の成果に期待しています。
また、株式会社xenodata lab. 代表取締役社長 関 洋二郎氏は次のように述べている。
レオス・キャピタルワークス様は弊社サービスの初期から利用開始いただき、また、藤野様には個人的に出資もしていただいており、会社としても私個人の思いとしても大変な恩人でございます。今回、弊社の強みである自然言語処理技術と、資産運用におけるトップ企業であるレオス・キャピタルワークス様のノウハウを組み合わせ、新しい指標の開発に向けて取り組ませていただけている事を大変光栄に思っており、この取り組みで、レオス・キャピタルワークス様、ひいては資産運用業界に大きな貢献ができるよう一生懸命努力してまいります。