ブルームバーグ、2020年ブルームバーグ男女平等指数(GEI)を発表


ブルームバーグは2020年1月22日、 2020年ブルームバーグ男女平等指数(GEI)を発表した。今年は、42ヵ国・地域から男女平等の推進に取り組む日本企業11社を含む世界の上場企業325社が同指数の構成企業として選ばれ、昨年の36ヵ国・地域から選出された230社と比べて大きく増加した。日本からはNTTドコモ、MS&AD ホールディングス、花王、新生銀行、大和ハウス工業、野村ホールディングス、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループが参加。指数構成企業はジェンダー平等の推進のために方針の策定・表明および透明性の向上に取り組んでおり、GEIでは各企業のパフォーマンスを継続的に調査している。

ブルームバーグのピーター・T・グラウアー会長は次のように述べている。

ジェンダーに関するブルームバーグの開示報告の枠組みは、50の産業に及ぶ広範な上場企業から得られる詳細な指標を提供することによって、投資家が入手できる環境・社会・ガバナンス(ESG)に関するデータの拡充を進めています。企業が職場や地域コミュニティーでジェンダー平等問題にどのように取り組んでいるかについて透明性を高めることによって、世界中で財務上の意思決定が速まり、インクルーシブな労働環境を提供する企業へのサポートとなっています。

今回、チェコ共和国、ニュージーランド、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、ロシアに本社を置く複数の企業がジェンダーに関するデータを初めて報告した。また、GEIの枠組みに含まれる指標の種類も増え、企業は女性が育児休業後に職場にとどまる可能性(82%)、職場における授乳室の設置(69%)、女性のための科学・技術・工学・算数(STEM)プログラムの提供(64%)等の情報を報告している。指数構成企業の時価総額合計額は、昨年の9兆米ドルから12兆米ドルに増大した。

サンタンデール銀行のアナ・ボティン会長は次のように述べている。

ブルームバーグ男女平等指数を通じてデータを公開することは、 社内の取り組みを評価するという点だけでなく、 同業他社と比較した当社の状況を把握するという点でも重要です。 継続的に指数構成企業に選出されることによって、 当社が社員全員にインクルーシブな環境を提供しているだけでなく、 コミュニティーにおけるジェンダー平等の推進に力を注いでいることを示しています。

変化は経営上層部で始まる

今年の調査結果によると、女性が最高経営責任者(CEO)を務める企業では男性が務める企業よりも多くの女性が経営幹部職に就いている。また、女性が率いる組織では男性が率いる企業よりも多くの女性が報酬上位10%に入っていることや収益を生み出す役割を担っていることが明らかとなった。

さらに、最高多様性責任者(CDO)を採用している企業(構成企業の64%)はダイバーシティ&インクルージョン( D&I)に関する目標を 経営幹部の勤務評価に取り入れる傾向にある(CDOを採用していない企業の20%に対して59%)。また、CDOを採用している企業では多様な経営幹部候補を求める傾向にある(CDOを採用していない企業の31%に対して67%)。

女性客にフォーカス

今年のGEIでは、顧客の性別の多様性に重点を置いているだけでなく、広告や販促資料にジェンダー・バイアスがないかどうかを評価する企業が増えていることが示している。 指数構成企業のうち、 販促資料にバイアスないかどうかを評価する企業の割合は昨年の68%から78%に上昇しました。 さらに、 構成企業のほぼ半数(46%)は女性客の維持状況を計測しており、 57%は性別による顧客満足度を調べています。

企業による目標の公表

今年のGEIでは、 どの企業がジェンダー格差解消のための目標を公表しているかのデータを初めて取り入れました。 具体的には、 GEI指数構成企業のうち39%は女性のリーダーシップを増やすための目標を公開しており、 また16%は賃金格差を解消するための計画を発表しています。

女性が働きやすい労働環境づくりに取り組む非営利団体カタリストのロレイン・ハリトン社長兼CEOは次のように述べている。

職場でジェンダー平等を達成する道のりはまだ長いものの、 ジェンダー関連のデータを公開することによって、 企業はベストプラクティスやD&Iに対する業界のアプローチを共有することが可能になります。 GEIはこの分野の情報開示で他をリードしており、 世界的な大手企業でトップダウンからの変化を促す上で一役買っています。

GEIでは5つの観点からジェンダー平等を測定している。具体的には、女性のリーダーシップと人材確保、同一賃金と賃金のジェンダー平等、インクルーシブな文化、セクシャルハラスメントに関する方針、女性志向のブランドが挙げられる。今年の指数構成企業のスコアは、ブルームバーグが設定したグローバルな基準と一致するか、もしくはそれを上回り、高度な情報開示と上記の5項目でのパフォーマンスの高さを示している。

GEIの標準化された開示報告の枠組みによって、世界中の企業の職場・サプライチェーン・地域コミュニティーにおける女性へのサポートを投資家が比較することができる。ブルームバーグのジェンダーに関する開示報告の枠組みは任意のものであり、関連費用はない。GEIは参照指数であり、財務指標としての使用を目的したものではない。また、同指数はランク付けされたものではない。