UBS、地球温暖化レポート「UBS リサーチ・フォーカス」を発表


UBSのウェルス・マネジメント・リサーチは、記録的な暑さになると予想される2007年、温暖化が投資にどのような影響を及ぼすのかについて最新の調査結果を発表した。

2007年1月31日にUBS ウェルス・マネジメント・リサーチが発表したレポート「UBS リサーチ・フォーカス」は、地球温暖化について最新の調査結果、具体的には、これによって生み出される主な投資機会と懸念材料について、セクター別の詳細とその内訳、さらにこれらを踏まえた投資戦略を紹介している。地球温暖化の影響が身近に感じられる昨今、かつて無かったほどの気象変化が及ぼす影響をどのように捉えるのか、その考え方の大枠を投資家に提供するのが目的。

同レポートは地球温暖化について、次のように述べている。

温室効果経済

温暖化ガス排出削減は、技術的には可能ですが、削減に対する世界規模のインセンティブを生み出すことができないのが現状です。しかし、地球温暖化を軽減させる最も重要な牽引役、そしてその結果投資のリスクとリターンに最も重要な影響を及ぼすのは、やはり今後の規制の枠組みです。 これには3 つの理由があります。

  • 温室効果ガスの濃度が上昇したのは、市場が機能しなかった結果です。一般論として温室効果ガスを放出しても、何らかのコストを被るような仕組みにはなっていないのが現状です。
  • 化石燃料に対してコスト競争力がある代替エネルギーは殆どありません。地球温暖化緩和に貢献すると思われる代替エネルギー、エネルギー効率の良い技術とサービスの多くは、依然、コスト面で石油、天然ガス、石炭に太刀打ちできません。
  • 国家にとってエネルギー戦略は重要度が高いからです。

温室効果ガス排出規制の強化と同時に、個人レベルでの取り組みも広範囲に広がると予想されることから、地球温暖化緩和に関わる投資機会は非常に魅力的になっています。

地球温暖化の勝者と敗者は未だ不確定

温暖化ガスを排出する産業は温暖化ガス排出規制のコスト負担を抑えるために、低炭素技術への投資、排出権取引、排出を相殺するプロジェクトへの投資、規制阻止あるいは異議申し立てのロビー活動を行なうことが考えられます。このため、特定の公害型産業の中で温室ガス排出が少ない企業は相対的に有利なポジションにあります。また、製造過程で温室効果ガスを多量に必要とする商品を製造している企業は、温室効果ガス規制の影響を直接的に受ける可能性があります。

業務形態が気象状況に大きく依存しているセクターは、温暖化の物理的影響を受ける可能性が高く、異常気象による悪影響も大きくなります。農業、漁業、林業、水力発電、水を多量に使用するセクターのほか、旅行、ヘルスケア、保険、海洋油田などが挙げられます。

リスク

今後、企業や産業に影響する地球温暖化関連のリスクには、規制強化、現物資産の損傷、収益減少、企業イメージの悪化などが挙げられ、個々のリスクに加え、相互に関連する場合もあります。

収益機会

温暖化ガス排出削減が奨励される緊急性が高まるほど、地球温暖化緩和と関連する投資機会は拡大します。

地球温暖化緩和と関連する投資機会は主に2 つに分類されます。

  • エネルギー効率の改善を促す商品やプロセス
  • 再生可能エネルギーあるいは低炭素エネルギーの開発

これらのセクターとその投資分野は、気象あるいは規制環境の変化から最も恩恵を受けることになります。

投資オプション

温暖化によるリスクと投資機会を自らの投資に活用しようと思う投資家は、幅広い資産クラスにおいて投資機会を得ることができます。

  • 株式関連の戦略:炭素への依存度が高く、環境変化への順応性が低いセクター、産業、企業への投資比率引き下げ。
  • 再生可能エネルギー/低炭素エネルギー製品とエネルギー効率に関わる企業への投資。
  • 地球温暖化緩和に特化したテーマ・ファンドへの投資。
  • ホワイト・バイオテック(持続可能な化学薬品)、太陽光発電、その他のバイオ燃料などの特殊な投資分野の株式バスケット、証書、指数への投資。
  • 環境技術に特化したベンチャー・キャピタルとプライベート・エクイティ・ファンドへの投資。
  • SRI(社会的責任投資)ファンド、指数への投資。優良企業にのみ投資する、不活発な企業を除く、もっとも回復ポテンシャルの高い企業に的を絞る、の3 つのアプローチ。
  • 債券市場では、今後採用される政策によって信用リスクが高まると思われる企業への投資比率を引き下げ、ハリケーンや洪水といった異常気象への投資比率を引き上げる。
  • 特定のクリーン・エネルギー・プロジェクトの資金調達を行なう政府や、企業が発行するリニューアル債券に投資。