S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの一部であるTrucostは、国内上場企業に関する環境分析の範囲を1,500社以上に拡大したと発表した。これにより、投資家は日本市場の時価総額の98%を占める企業について、炭素排出量、水への依存度、廃棄物処理、及びその他の汚染物質による影響を評価することが可能となった。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの最高経営責任者(CEO)であるAlex Matturri氏は次のように述べている。
日本版スチュワードシップ・コードは、投資や対話を通じて企業の持続的成長を促すための取り組みであり、200以上の機関投資家がこれに賛同し、署名しています。クリーン・エネルギーへの移行や、その他の環境問題に対して企業がどのように取り組んでいるかに関して、市場では情報開示の徹底や可視化の推進が求められており、Trucostが行う環境分析はこうした市場の要求に応えるものとなっています。弊社では、持続可能なグローバル経済の発展に貢献するため、ESGデータに関する透明性の向上や市場アクセスの改善に取り組んでおり、このたび環境分析の範囲を拡大したのも、こうした取り組みの一環であると言えます。
Trucost社が日本の上場企業を対象に環境情報の開示状況を調査した結果、以下のことが明らかになった:
- S&P/TOPIX 150指数の構成企業では、事業活動による炭素排出量の84%が開示されている。これに対して、S&P 日本総合指数(BMI)では開示率が65%にとどまっている。
- 時価総額の大きな企業の方が、情報開示率が高い。S&P/TOPIX 150指数を構成する150社の内、事業活動による炭素排出量を開示している企業は全体の87%に上っている。これに対して、S&P 日本総合指数(BMI)を構成する1,669社では、情報開示率が21%にとどまっている。
- 事業活動における水への依存度と廃棄物処理に関しては、情報開示率がさらに低い。S&P 日本総合指数(BMI)の構成企業では、これらの情報を開示している企業がそれぞれ全体の15%、17%にとどまっているため、全体の影響のそれぞれ44%、51%を占めている。
Trucostの最高経営責任者(CEO)であるRichard Mattison氏は以下のように述べている。
パリ協定が2015年に採択されて以降、日本はサステナブル投資の分野において最も急速な成長を遂げてきました。我々の分析によると、S&P/TOPIX 150指数とS&P 日本総合指数(BMI)の構成企業の間では、環境パフォーマンス情報の開示状況に明確な差が見られます。したがって、Trucostが毎年行う調査プログラムを通じて、企業の情報開示を促すことができると考えています。資本フローの拡大と持続可能な社会を両立させるため、我々は高品質な環境データを提供することに努めて参ります。
東証ホールで開催されている「RIアジア・ジャパン2018」において、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の理事(運用担当)兼最高投資責任者(CIO)である水野弘道氏は2018年4月10日、炭素排出による環境への影響を調査し、将来を見据えた経営目標の設定を支援するために、GPIFがTrucostの炭素分析を活用すると発表した。
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの一部門であるTRUCOSTについて
TrucostはS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの一部門。炭素排出量及び環境のデータやリスク分析のリーダーであり、気候変動、天然資源の制約、及び広範な環境・社会・ガバナンス(ESG)ファクターに関連するリスクの評価を行っている。企業や金融機関はTrucostのサービスを利用することで、ESGファクターへのエクスポージャーを理解し、企業の回復力を査定し、持続可能なグローバル経済の発展に向けた変革的なソリューションを生み出すことができる。S&P グローバルは環境分析や革新的な商品開発に取り組んでいるため、ESGに関する重要な投資情報を世界の市場に提供することが可能となっている。