JPモルガン・アセット・マネジメントは、日本の企業年金を対象に、2012年度から2013年度にかけての運用状況の変化、および今後の方向性について聞き取り調査を行ない、4月24日にその調査結果の速報を次のように発表した。
調査結果によると、企業年金は、アベノミクスや日銀の異次元緩和政策等による「先進国の超低金利(今後の金利上昇懸念)」や「市場のボラティリティの上昇やテールリスクの増大」を踏まえ、様々な投資資産、戦略をより幅広く組み入れる傾向が強まっている。その狙いは、分散効果によるリスク水準の抑制を図りながらも、選別的にリスクをとり、超低金利下においても目標リターンの達成が期待できる戦略にシフトすることと考えられる。
このような市場環境の変化を反映して、リーマン・ショック以降低下傾向が続いてきた企業年金の目標リターン、想定リスクは下げ止まりつつある。資産配分としては、国内債券を削減し、追加的なリスクをとりながらも、より高いリターンが期待できる外国債券やオルタナティブ等に資金を移す動きが、より鮮明になっている。背景には、一層の超低金利の進行によって国内債券の期待リターンが低下したこと、および、将来の金利上昇懸念が強まっていることがあるものと推察される。
一方、国内株式は減少してはいるものの、計画対比での上乗せ幅は拡大しつつある。また、アクティブ運用の割合も増加しており、アクティブ度合いの高い戦略を通じて、リターンの積み増しを図る姿勢が強まっている。また、配分増の傾向が強い外国債券では、新興国債券やバンクローンの採用が拡大している。オルタナティブの増加基調も強まっており、ヘッジファンドを中心とする絶対収益型、プライベート・エクイティ、リアル・アセット(不動産、インフラ投資等)の3カテゴリーすべてで採用商品数が増加している。
このように、企業年金は、慎重な姿勢を維持しながらも、アベノミクスによる市場環境の好転を睨んで、これまでのリスク削減一辺倒の状況を転換しています。より積極的な戦略の採用、拡大を通じて、選別的にリスクをとって超過リターンを獲得し、超低金利環境下においても必要なリターンの確保・達成を目指す方向性を明確にしつつある。
また、廃止が議論されている厚年基金においては様々な点で制度の見直しが進められており、運用への影響も見え始めている。
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