フィデリティ・インターナショナル、ESGアナリスト・サーベイ2024の結果を発表


フィデリティ投信株式会社は、フィデリティ・インターナショナル(以下、フィデリティ)が実施したESGアナリスト・サーベイ2024の結果を2024年6月7日に発表した。この調査では、世界の約20,000社*の企業からボトムアップで情報を集約したフィデリティのアナリストの見解を検証し、注目すべきESGトレンドを分析している。

  • アナリストがカバーする企業の68%が、過去12ヵ月間、フィデリティによるエンゲージメント(対話)に積極的に対応
  • アナリストの43%が、企業は2050年までに実現可能なネット・ゼロ目標をもっていると回答
  • ESGへの取り組みを企業に促す有効な方法は、規制、政府による支援、株主行動

フィデリティは次のように述べている。

ネット・ゼロ達成は地球の存続にも関わる重要な問題であり、世界がこれまで直面してきた最も困難な課題の1つです。フィデリティが毎年実施している本調査によると、企業は急速に変化する環境、経済、規制の状況を認識しており、サステナビリティの取り組みを推進するため、ステークホルダーとの対話に引き続き熱心であることがわかりました。

 

図表1: 企業はESGエンゲージメントに積極的

企業はESGエンゲージメントに積極的

質問: 過去 12 ヵ月間、(アナリストが担当する)企業はフィデリティのエンゲージメントの取り組みに対してどの程度対応しましたか?(「積極的でも消極的でもない」の回答は含まない。)

今回の調査に参加したアナリストがカバーする企業の68%が、過去12ヵ月間にエンゲージメントの取り組みに積極的に応じている。地域別にみると、日本が89%でトップ、次いでEMEA / ラテンアメリカ(83%)、アジア・パシフィック(中国と日本を除く、71%)という結果になった。

 

企業はリスクに備え始めている

企業が2050年までに実現可能なネット・ゼロ目標をもっていると回答したのは、調査に参加したアナリストの43%にとどまっており、ネット・ゼロ達成に向けた計画の加速が急務であることが浮き彫りになった。一方で、アナリストの85%は、企業はネット・ゼロを達成できないリスクに気づいており、気候や自然の潜在的な変化によってビジネスにもたらされる脅威に備えていると考えている。

図表2: 多くの企業は気候変動がビジネスにもたらす脅威に備えている

多くの企業は気候変動がビジネスにもたらす脅威に備えている

質問: (アナリストが担当する)企業は気候や自然の潜在的な変化によってもたらされるビジネスへの脅威に備えていますか?

 

ネット・ゼロへの取り組みを企業に促す3つの最も有効な方法

ネット・ゼロ達成への道のりが長いことは明らかだが、企業の環境への取り組みを最も効率的に後押しするのは、規制、政府による支援、株主の行動の3つであることが分かった。

図表3: 規制、政府による支援、株主の行動が企業の環境への取り組みを後押し

規制、政府による支援、株主の行動が企業の環境への取り組みを後押し

質問: 今後12ヵ月の間に、どのようなことが(アナリストが担当する)企業の環境への取り組みに変化を促すと思いますか?

フィデリティ の チーフ・サステナビリティ・オフィサー である ジェン・ホイ・タン氏は、今回の調査結果について次のようにコメントしている。

企業のネット・ゼロ移行計画は遅れていますが、温暖化と生態系の悪化がもたらす脅威に対する認識の高まりが、取り組みを続ける強力な原動力となっています。

企業がステークホルダーとの対話に積極的に取り組んでいる一方で、道のりはまだ長く、ネット・ゼロ達成に向けて継続的な支援が必要であることが、本調査で浮き彫りになりました。不確実なマクロ環境下で長期的な意思決定を行うためには、収益性および持続可能性のトレードオフと制約を慎重に検討する必要があり、規制や政府による支援、株主の行動が、企業のネット・ゼロ移行を成功に導く上で重要な役割を担っています。