コモンズ投信株式会社は、創業来続けている寄付プログラム「コモンズSEEDCap(社会起業家応援プログラム)」の第15回応援先をNPO法人アクセプト・インターナショナル 永井陽右さんに決定し、同社が受け取る信託報酬の1%相当額から200万円を寄付すると2024年6月20日に発表した。
コモンズ投信の寄付のしくみについて
コモンズ投信は長期投資を経済的リターンと社会的リターンの両面から捉え、そのふたつが両輪としてまわってこそ社会や事業はサステナブルであるという考えのもと、投資はもとより寄付も本業として位置づけ取り組んでいる。
「コモンズSEEDCap」は、同社が運用・販売するコモンズ30ファンドから同社が受け取る信託報酬の1%相当額を、社会課題に取り組む起業家に毎年寄付をするプログラム。最終候補者として選出した3名から今年の応援先1名を決定する選考プロセスにはファンドの受益者(コモンズ投信では「お仲間」と呼ぶ)も参加している。このプログラムを通じて、社会課題を知り、寄付し、イベントやボランティア活動にも参加している。また、最終候補者に選ばれた3名には、1年間コモンズ投信の社員がイベントの企画や広報活動を支援する。
応援先決定プロセス
コモンズ SEEDCapの応援先は、以下のプロセスで決定する。
- コモンズ社会起業家フォーラムにおいて当日の参加者の声をもとに候補者1名を選出
- コモンズ社会起業家フォーラムの過去登壇者の中から当社が最終候補者2名を選出
- 最終候補者3名についてお仲間の推薦の声を参考に当社が1名を選出し推薦
- 内部/外部委員で構成するSEEDCap応援先最終選考委員会にて推薦者数、内容等を考慮したうえで、応援先1名を決定
今回の第15回コモンズSEEDCapについて
第15回コモンズSEEDCap最終候補者
永井陽右さん
テロ組織の投降兵や逮捕者、ギャングなどの紛争当事者を対象とした脱過激化・社会復帰支援事業を基軸に、脱退促進や過激化防止など包括的にテロ・紛争解決に取り組む。
▼永井さんの7分間スピーチ|第12回コモンズ社会起業家フォーラム
勝山恵一さん
生まれ育った家庭、環境関係無く、自分の可能性をあきらめず、自分の人生を自分で選択できる社会の創出に挑む。
▼勝山さんの7分間スピーチ|第15回コモンズ社会起業家フォーラム
潮崎真惟子さん
フェアトレードの認証を担う国際協力NGO。大企業や市民も巻き込み社会課題の根源“ビジネスの歪み”に向き合う。
▼潮崎さんの7分間スピーチ|第15回コモンズ社会起業家フォーラム
第15回コモンズSEEDCap応援先
永井陽右(ながい ようすけ)さん
NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事。テロと紛争の解決をミッションに、主にソマリアやイエメンなどの紛争地にて、テロ組織の投降兵や逮捕者、戦争捕虜などの脱過激化と社会復帰を支援。テロ組織との交渉および投降の促進、国連機関や現地政府の政策立案やレビューにも従事。近年は、テロや武力紛争に関わる若者に関する国際規範の制定に向けた取り組みも行っている。 国連ではアドバイザリーボード、専門家会議や専門作業部会のメンバー、国際人道法の専門機関であるGeneva Academy of International Humanitarian Law and Human Rightsでは客員フェローを務める。London School of Economics and Political Science修士号(紛争研究)。早稲田大学社会科学研究科博士号(社会科学)。国内外で受賞・選出多数。著書に『紛争地で「働く」私の生き方』(小学館)、『共感という病』(かんき出版)など。
コモンズ投信は、応援先決定理由について次のように述べている。
永井さんの「憎しみの連鎖をほどいていく」という確固たる意志をもった活動への共感、スケール感ある日本人青年の実行力への期待から、お仲間、最終選考委員、そして社員からの多くの推薦が永井さんに集まりました。同団体の活動は、平和を奪われた環境下で未来を閉ざされた若者たちに希望を与えています。よりよい未来づくりと次世代育成をミッションとするコモンズ投信としても、この難しく重要な活動を支援したいと考えました。 被害者が巻き込まれ、結果として加害者になってしまうという負の連鎖を解決しようとするこの活動は、支援対象が加害者であるという都合上、企業が組織として応援しづらい構図があるのも事実です。そんな中で、私たちは寄付だからこそ、この活動を応援できると考え、アクセプト・インターナショナルの永井さんを第15回応援先として決定し、200万円を寄付することとしました。なお、他2名の最終候補者、勝山恵一さん、潮崎真惟子さんには、それぞれ5万円を寄付させていただくこととしました。
■最終選考委員会
【外部委員】(五十音順)
- 高橋一朗さん (西武信用金庫 理事長)
- 高橋陽子さん (公益社団法人 日本フィランソロピー協会 理事長)
- 山田泰久さん (一般財団法人 非営利組織評価センター 業務執行理事)
【内部委員】
- 渋澤健 (コモンズ投信 取締役会長)
- 伊井哲朗 (コモンズ投信 代表取締役社長)
- 福本美帆 (コモンズ投信 取締役マーケティング部長)
【事務局】
- 馬越裕子 (コモンズ投信 マーケティング部 ソーシャルエンゲージメントリーダー)
■お仲間からの推薦の声(一部)
世界や地球を考えた時、無力感しか起こりません。そのような中でこの度「コモンズSEEDCap」によりアクセプト・インターナショナルという組織を知り得たことはまさに邂逅であり衝撃でもありました。
平和の為に活動する団体はいろいろあると思いますが、紛争やテロの当事者にアプローチを図り、個々に働きかけ、いわば内側から負のパワーを解き放とうとするような取組みをしている人たちがいる、しかも日本人がそれを進めているとは驚きしかありません。武力でテロ組織など潰したところで個の憎しみは残り解決にもならない訳ですが、当事者の思考を変えられればそれは変化をもたらすでしょう。
アクセプト・インターナショナルのホームページを拝見すると、既に様々なメディアに取り上げられ、高く評価もされている団体だということも判りましたが、文字通り命を懸けて人間の憎しみの連鎖を解き放とうとされている活動を、是非コモンズ30ファンドの寄付の対象先としてお選び頂きますよう推薦致します。(兵庫・女性・60代)
「海外のテロリストの武装解除」は、日本とは遠く離れた世界の出来事で、自分自身とは関連はないと感じる人々も多いのだろうと改めて思い、他のお二人の活動に比べ日本では応援や支援を受けにくいかもしれないな、とも想像しました。それでも敢えて挑戦し続ける永井さんのガッツに、また図らずもテロリストになってしまった過去から方向転換できた若者達に声援を送りつつ、共に未来を創って行きたいという思いから永井さんを選びました。(神奈川・女性・50代)
テロ組織やギャング組織に属した人を罰することは、もちろん必要なことです。しかし一度悪事に手を染めた人が罰を受け改心してもなお社会復帰できない状況に置かれるのは、アクセプト・インターナショナルさんがおっしゃるとおり憎しみの連鎖、暴力の連鎖を生み出すだけだと思います。日本でも出所者の社会復帰の難しさが言われますが、その改善にもアクセプト・インターナショナルさんの活動・経験は役立つはず。ぜひコモンズ投信とコラボして、その活動が多くの人の知られるところになってほしいです。(埼玉・男性・18歳以下)
寄付でしか支えられない活動であると思います。(東京・男性・50代)
戦争や紛争といったニュースを見ない日はないです。少しでも若い人が、普通の生活に戻れるようになるお手伝いができるのではと思い永井さんを推薦することにしました。(神奈川・男性・50代)
コモンズ投信は次のように述べている。
わたしたちコモンズ投信は関係するすべてのステークホルダーの皆さまとともに、今年の応援先である永井陽右さんおよびアクセプト・インターナショナルを通して、視点を日本から世界へ広げ、そして、日本人として今世界にできることを考え「憎しみの連鎖をほどいていく」ことにフォーカスしていきたいと思います。
永井さんだけでなく、他2名の最終候補者とも1年間共創プログラムの実施や情報発信などで、活動を応援させていただきます。永井さんへの授賞式は、2024年10月6日(日) 東京・文京区にて開催予定の第16回コモンズ社会起業家フォーラムにて行います。ぜひご注目ください。