オルイン、第5回 年金プロダクト需給調査の結果を公表


企業年金・機関投資家向け運用情報誌『オルイン』を発行する株式会社想研「第5回 年金プロダクト需給調査」を実施し、2022年8月2日にその結果を一部公表した。

『オルイン』第5回 年金プロダクト需給調査

 

この調査は、 確定給付型企業年金を中心とするアセットオーナーと、 資産運用会社へのアンケートを通じて、 国内企業年金の資産運用の実態および、 企業年金が採用する投資戦略(プロダクト)に対する需要サイド(企業年金)と供給サイド(資産運用会社)の動向を調査することで、 企業年金を取り巻く課題と運用の方向性を捉えることを目的としている。

 

【調査サマリー】

1.企業年金の運用実態

  • 2021年度は第4四半期に大きな下落が発生したものの、 年度では2%台~3%台を中心に多くの基金がプラスリターンで終えた。
  • 企業年金が設定する政策アセットミックスでは、 国内債券の採用率は高いものの、 平均配分比率は3割を割り込んだ。 また、 資産運用会社の投資判断に基づき複数資産に投資するマルチアセット戦略を運用ポートフォリオ上で採用する基金は47.3%まで増加している。
  • 年金運用上の課題では、 「足もとの金利上昇」「長期的な低金利」「ダウンサイドリスク」への対策が上位に(下図参照)。 「足もとの金利上昇」「長期的な低金利」の両方を選択する企業年金も多く、 低金利にともなう利回り低下と、 金利上昇による債券価格下落の板挟みの状態にある模様。

 

年金運用上の課題

2.企業年金の投資ニーズ

  • 債券・クレジット系プロダクトでは国内債券の減額予定が目立つほか、 金利上昇、 為替ヘッジコストが影響してヘッジ外債の投資ニーズが減衰している。 一方で、 アクティブ運用や債券アンコンストレインド運用については根強いニーズも確認できた。
  • ESG株式戦略は全体の29.5%が採用済、 11.6%が検討中と回答しており、 今後も拡大傾向が続くとみられる。
  • オルタナティブ資産ではマルチアセット戦略と時価変動が少ないプライベートアセットに対する投資ニーズが強くなっている。 また、 ボラタイルな市場環境を反映してか、 ヘッジファンドのニーズが拡大している。

企業年金の投資ニーズ

3.その他のトピック

  • 相次ぐ生保一般勘定の予定利率引下げの動きに対して、 全体の16.3%が今後の減額・解約を予定していると回答した。 また、 一般勘定を採用する企業年金の59.4%では現在何らかの対策が進んでいる。
  • 生保一般勘定を代替する選択肢としては、 生保が提供する代替戦略、 マルチアセット戦略、 債券アンコンストレインド戦略、 不動産・インフラのデット戦略などが検討されている。
  • 過半数の企業年金でプライベートアセットが採用されていることがわかった。 また、 従来プライベートアセットの中心を占めていた「コア型オープンエンドファンド」から投資の裾野が広がりつつある。

生保一般勘定の予定利率引下げの影響

生保一般勘定を代替する選択肢

資産運用環境が厳しさを増す中で、 多くの企業年金が1.運用会社の投資判断やアクティブ運用スキル、 2.分散効果の高いオルタナティブ投資などを用いることで、 ポートフォリオの堅牢性を高めている模様。 また、 大手生保で相次ぐ一般勘定の予定利率引下げの動きは企業年金の運用にも少なからず変化をもたらしており、 代替戦略としてもアクティブ運用やオルタナティブ投資の存在感が高まっている。

【調査概要】
調査期間:2022年5月9日(月)~6月3日(金)
調査方法:webフォーム
調査主体:機関投資家向け運用情報誌『オルイン』(発行:株式会社想研)
調査対象:国内企業年基金および、 国内で事業展開する資産運用会社
回答件数:基金型企業年金基金:111、 規約型企業年金:16、 その他・共済等:2、 資産運用会社:41

調査の詳細→ https://www.soken-inc.co.jp/survey/alin-5-product/