マネックス証券は、 2016 年8 月5 日~8 日にインターネットを通じて日本銀行の金融政策への期待感および相場観などについてアンケート調査(回答数647 件)を実施した。
今月は定例調査に加えて、 日銀の追加金融緩和について特別調査を行った。 7 月の金融政策決定会合で日銀はETF の買い入れ金額をほぼ倍増させる追加金融緩和を決定したが、 それを受けた個人投資家の投資マインドの変化などを調査した。 マネックス証券では、「今回実施された金融緩和では個人投資家の投資マインドの変化は限定的だったこと、 一定割合の個人投資家は超長期国債の直接引き受け(以下「ヘリコプターマネー」)の導入を期待していることなどが特徴的でした」とコメントしている。
定例調査は前回調査時(2016 年5~6 月実施)からそれほど大きな傾向の変化はなかった。 英国のEU 離脱決定後、 金融市場は一時混乱に陥りましたが比較的早期に混乱が収束したことから個人投資家の投資マインドへの影響は限定的だった模様。
今月の特別調査
日本銀行の金融政策について
7月の金融政策決定会合で日銀はETF の買い入れ金額を年間3.3 兆円から6 兆円にほぼ倍増させることを決定した。 それを受けた個人投資家の投資マインドの変化は限定的で、 8 割近くの個人投資家が金融政策決定会合前後で「投資意欲が変わらない」と回答した。
日銀がどのような政策を行えば投資に対して強気になれるかという、 いわば「個人投資家が期待する金融政策」についても尋ねた。 最も多かった回答は「ETF・J-REIT の買い入れ増額」で、 次いで多かったのが「ヘリコプターマネー」でした。 「ヘリコプターマネー」については、 財政規律の崩壊やハイパーインフレを招くなどの懸念があることから否定的な論調も見られる一方、 一定の割合の個人投資家は導入に期待を持っていることがわかりった。
今月の定例調査
(1)日本株DI(※)は上昇も米国株と中国株のDI は低下
今後 3 ヶ月程度の各国(日本、 米国、 中国)の株式市場に対する個人投資家の見通しは、 日本株DI がわずかに上昇した一方で、 米国株DI と中国株DI は低下した。 特に米国株DI は前回調査時から25 ポイントの大幅低下となった。 マネックス証券では、「ダウ平均などの主要株価指数が史上最高値を更新するなど株価が高値圏にあることから株価調整に対する警戒感が強まっているのかもしれません」とコメントしている。
※
DI:「上昇すると思う」と回答した割合(%)から「下落すると思う」と回答した割合(%)を引いたポイント
DI がプラス:「上昇すると思う」と回答した割合が高い。 DI がマイナス:「下落すると思う」と回答した割合が高い。
(2)業種別魅力度は「通信」が2 位に浮上
個人投資家が魅力を感じている業種上位 5 業種のうち、 1 位の「医薬品」、 3 位の「ハイテク」、 5 位の「自動車」は前回調査時から順位に変動がなかった。 一方で「通信」が4 位から2 位に2 つ順位を上げた。マネックス証券では、「2017 年3 月期第 1 四半期の決算発表でKDDI(9433)とソフトバンクグループ(9984)が第1 四半期として過去最高の純利益を計上するなど、 業績の好調さが投資魅力を高めているのかもしれません」とコメントしている。
(3)6 割以上の個人投資家がFRB の年内追加利上げを見込む
連邦準備制度理事会(以下「FRB」)が次に利上げを実施する時期について、 「2016 年10 月~12 月」と予想する個人投資家の割合が54.1%と最も高くなった。 「2016 年9 月」に利上げが実施されると考えている個人投資家と合わせると6 割以上が年内の利上げを見込んでいることになる。 労働市場の改善などを背景に、 FRB が比較的早期に利上げに動くのではないかと考えている個人投資家が多い模様。