インベスコは、ケンブリッジ大学 ジャッジ・ビジネススクールとパートナーシップを結び、ソートリーダシップやインベストメント・インサイトの強化、トレーニングの実施、ブランディングの浸透、人材育成といった分野において協働しているが、この度、インベスコの協力の下、ケンブリッジ大学 ジャッジ・ビジネススクール ケンブリッジ・オルタナティブ・ファイナンス・センター(CCAF)は、「第2回 グローバル・エンタープライズ・ブロックチェーン・ベンチマーキングスタディ」を発表した。
2017 年に発表された第1回目のスタディに続き、インベスコの協力の下、ケンブリッジ大学 ジャッジ・ビジネススクール ケンブリッジ・オルタナティブ・ファイナンス・センターは、160の法人を調査し、67 の現在活動中のエンタープライズ・ブロックチェーン・ネットワークについての第 2 回目の分析を行った。そして企業のブロックチェーン利用について、前回から大きな変化があったことが明らかとなった。
「2年前時点での企業のブロックチェーン技術への取り組みは、暗中模索の中で、初期段階の実験と検証が繰り返されている状態でした。それが現在では、かつて見られたブロックチェーン技術への過度な期待は剥げ落ち、ブロックチェーン技術が実際の企業活動に組み込まれ、利用され始めています」と調査結果で報告されている。また、新しいブロックチェーン・ネットワーク構築のための期間として、初期検証から実際の利用まで 2 年強であることも示された。
今回の調査では、現在稼働中のエンタープライズ・ブロックチェーン・ネットワークの多く(77%)は、自動的にコンセンサスを集約しブロックチェーン・ネットワークを自動運営するという理想的な姿からすると、未だ不完全であると分析している。ただし、関連する企業がブロックチェーン上でビジネス上のデータを共有するという重要な変化が始まっているとしている。
ケンブリッジ大学 CCAF のボブ・ワードロップ教授は、同レポートの前文で次のように述べている。
様々な業界において、エンタープライズ・ブロックチェーンは、共通のデータの標準化を促し、組織間の縦割りを排除し、全体プロセスの効率化、かつ新サービスの創出を可能にするソリューションとして認識されている。
今回の調査では銀行などの金融機関が業務フローの効率化を目的としたブロックチェーン技術の使用に積極的であり、現在稼働中のネットワークの最も多くが金融業種で利用されていることが分かった(全体の 43%)。また、同レポートでは、将来的には新たなサービスや商品の提供がブロックチェーン投資の最大の目的となると指摘しているが、現在、稼働しているブロックチェーン・ネットワークにおいて、その目的は僅か 6%に留まるとしている。
インベスコで、テクノロジー戦略、デジタル・トランスフォーメーション、AI、新興テクノロジーに関するグローバル・ヘッドを務めるデーブ・ダウセット氏は同レポートの前文で、次のように述べている。
ブロックチェーンが作る世界は、関連する全てのステークホルダーの 参加が必要であり、新しいパラダイムへの移行には、新技術への信頼がより高まるなど、時間を要することになる。
また、今回の調査では、以下のデータも示された。
- 現在活動中の(ブロックチェーン)ネットワークの 72%は、データの突合にかかるコスト削減を目的として利用されている一方、今後の新プロジェクトに参加する主たる動機としては、69%の企業が新しい製品やサービスの開発による売上増加を挙げている。
- 現在活動中のネットワークの 71%は、プロジェクトの主幹事が存在する。また、88%は複数の企業で共同利用される目的で作られているが、大部分のプロジェクトはネットワークへの参加について何らか制限を設けており、19%のみがコンソーシアムなどの形で競合他社と共同運営されている。
- 今回の調査で分析したプロジェクトの 48%は、オープンソースのブロックチェーンプラットフォームであるHyperledger Fabric(ハイパーレッジャー・ファブリック)を選択しており、15%は R3 社の Corda プラットフォーム、10%がCoinSciences社の マルチ・チェーン・フレームワークを選んでいる。
- 現在活動中のネットワークの多く(81%)は中央集権的な仕組みを持っているが、今後はより分散的な管理体制へと移行することを計画している。
今回の調査発表を受けて、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社の代表取締役社長兼 CEO を務める佐藤 秀樹氏は次のように述べている。
インベスコの協力の下、ケンブリッジ大学 ジャッジ・ビジネススクール ケンブリッジ・オ ルタナティブ・ファイナンス・センターがブロックチェーンに関する調査報告書を発表しました。今回の調査により、ブロック チェーンがより身近になる段階へと近づいてきていることが分かり、これからの近未来で起きることが一人の消費者とし て楽しみでなりません。ブロックチェーンは、世界を変える技術を呼ばれ、一説には 2030 年にはその市場規模は300 兆円を超える規模になると言われ、投資先分野としても注目され始めています。情報発信を強化し、従来か らお伝えしている金融市場の見通しなどに加え、消費者の皆様に、このような革新的な新しい分野についても情報 提供を実施していきたいと考えています。
レポート全文→https://www.jbs.cam.ac.uk/faculty-research/centres/alternative-finance/publications/2nd-global- enterprise-blockchain-benchmarking-study/