米ステート・ストリート・コーポレーションの資産運用部門であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは米国東部時間9月27日、「恐れを知らぬ少女(Fearless Girl)」キャンペーンの最新成果を発表し、ジェンダー・ダイバーシティ、アセット・スチュワードシップの向上を目指す取り組みの成果が米国、英国、オーストラリア、日本、カナダ、欧州本土で進捗していることが示された。
2017年3月に「恐れを知らぬ少女」像を米ニューヨーク・ウォール街に設置して以来、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが当初対象に選んだ企業のうち300社以上で女性役員が新たに就任し、さらに28社が女性役員の起用を約束した。米国ではキャンペーンの勢いが長期にわたって持続しており、これまでに合計215社で女性役員が新たに就任している。これにより、ラッセル3000指数(1)構成企業の中で女性取締役が1人もいない企業の割合は24%(2016年末時点)から16%(2018年6月時点)に低下した(2) 。また、取締役会のジェンダー・ダイバーシティで改善が見られなかったために、当社が株主総会で反対の議決権行使を行った企業の数は、2017年の株主総会期間中に512社、2018年上半期(一部の国の株主総会シーズンが含まれる)だけで581社に達した。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのESG投資兼アセット・スチュワードシップ責任者を務めるラキ・クマール氏は次のように述べている。
アセット・スチュワードシップの価値を信じ、積極的に働きかけを行っている立場として、『恐れを知らぬ少女』キャンペーンの成果が広がり続けていることをとても嬉しく思います。『恐れを知らぬ少女』像の設置をきっかけに、世界中の企業や株主が取締役会のダイバーシティに注目するようになり、私たちの呼びかけに応えて行動を起こしています。当社の働きかけに応じて女性役員を既に起用した企業や起用を約束した企業に称賛を送ります。
過去1年間に、同社はエンゲージメント対象企業を世界中に拡大し、日本、カナダ、欧州で呼びかけを開始した。日本では早い段階から企業の反応が見られ、これまでに40社で同社の呼びかけに応じて新たに女性役員が就任し、さらに11社が近いうちに女性役員を起用すると約束した。カナダでは同社が呼びかけを行った企業の約4分の1に相当する23%の企業が女性役員を新たに起用し、欧州では呼びかけを行った企業の50%で女性役員が就任した。
日本におけるこのような結果を受け、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 髙村孝氏は次のように述べている。
世界第3位の資産運用会社であり、また世界有数のインデックス運用会社である当社は、お客様に長期的価値を提供し、責任ある投資を通じてお客様の投資目標の達成をサポートすることに注力しています。アセット・スチュワードシップに対する当社の取り組みは、総合的な投資アプローチの一環として、そうした問題に取り組むべきであるという当社の信念を実践しているにすぎません。
同社はまた、取締役会のダイバーシティ向上に向けた企業の取り組みを更に促進していくため、取締役会のジェンダー・ダイバーシティに関する投票指針を強化することを発表した。米国、英国、オーストラリアでは2020年以降、日本とカナダ、欧州本土では2021年以降、女性取締役が1人もおらず、また当社の取締役会ジェンダー・ダイバーシティ・プログラムについての呼びかけにもかかわらず3年連続で成果が見られない企業に対し、当社は指名委員会を構成する全ての取締役候補者について反対票を投じる。
「恐れを知らぬ少女」キャンペーン:世界各地における成果
【北米】
- 米国では2017年に続き、2018年に入っても取締役会ジェンダー・ダイバーシティ・キャンペーンの力強い勢いが持続しており、「恐れを知らぬ少女」像の設置以降、 816社の投資対象企業に対して呼びかけを実施した。
- キャンペーンを開始した2017年に対象となったラッセル3000指数構成企業の多くで1人以上の女性役員が新たに就任し、同指数構成企業のうち女性役員が1人もいない企業の割合は24%(2016年)から16%(2018年6月30日時点)(3)に低下した。
- 「恐れを知らぬ少女」キャンペーン開始以来、米国企業215社で女性役員が新たに就任し、さらに14社が近いうちに女性役員を起用すると約束した。
- カナダ企業のキャンペーンに対する反応も極めて大きく、呼びかけの対象となった企業の23%で、女性役員が新たに就任あるいは起用が約束された。
【アジア太平洋地域】
- 日本企業も早い段階から顕著な反応を示し、対象企業の18%で女性役員が新たに就任あるいは起用が約束された。
- オーストラリアの企業でも同様に熱心な取り組みが見られ、キャンペーンを開始以降、特定企業の49%で女性取締役が新たに就任あるいは起用を約束した。
【欧州】
- 英国では、FTSE350指数(4)構成企業で取締役会のジェンダー・ダイバーシティが進んでいない数社に対するモニタリングを継続した。「恐れを知らぬ少女」キャンペーンが開始されて以降、特定企業12社のうち7社で初の女性役員が就任した。
- 欧州のその他の国に関しては、キャンペーンの対象をストックス欧州600指数(STOXX600)(5)構成企業に拡大したところ、女性役員が1人もいない企業として特定されたのはわずか10社で、そのうち5社で女性役員が新たに誕生した。
(1)ラッセル3000指数とは、FTSE Russellが算出・公表している株式市場全体のエクスポージャーを提供する時価総額加重型の株式指数。同指数は、米国株式全体の約98%をカバーする時価総額上位3,000銘柄のパフォーマンスに追随する。
(2)ISSアナリティクス、2016年11月および2018年6月時点
(3)ISSアナリティクス、2016年11月および2018年6月時点
(4)FTSE350種総合株価指数は、ロンドン証券取引所に主に上場している時価総額上位350銘柄で構成される時価総額加重型の株式指数。時価総額上位100銘柄で構成されるFTSE100種総合株価指数と、FTSE100種総合株価指数に次いで時価総額上位の250銘柄で構成されるFTSE250種総合株価指数の両指数で構成されている。
(5)ストックス欧州600指数は、ストックス・グローバル1800指数のサブセットであるストックス欧州トータル・マーケット指数(TMI)から派生した指数。ストックス欧州600指数は欧州地域17カ国の大・中・小型株600銘柄で構成されている。